SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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カリフォルニア州法務協議会の記録
アンチ・スラップ法が発達したカリフォルニア州の法務協議会のサイトでは、訴訟でアンチスラップの特別動議を提出する方法を解説したファイルがダウンロードできるようになっています。このページでは、過去にカリフォルニア州内であった却下の特別動議の記録が検索できるようにもなっています。誰と誰が訴訟になったか紛争当事者の名前が第三者にわかるようになっている一方、争点が何だったのかは、このサイトではわかりません。

California Courts: Reference: Special Motions to Strike Strategic Lawsuits Against Public Participation
| slapp | SLAPP基本情報 | 14:41 | comments(0) | trackbacks(0) |
アンチ・スラップ・モデル
(サムネイルが非表示の場合もリンク先へ跳べます)
SLAPPは報道への萎縮効果を狙った訴訟を指すこともあります。情報の自由な流通環境があってはじめて民主社会が成り立つわけですから、報道に携わる人間は、SLAPPのような訴訟のもつ意味にいっそう敏感であるべきでしょう。

アメリカのジャーナリストの団体、職業ジャーナリスト協会(Society of Professional Journalists)が、アンチ・スラップ法の制定を求める提案(アンチ・スラップ・モデル)を公開しています。「SLAPPを制限する統一法、その可決を」と題して、SLAPPの今日的状況、被害者となったときの対処法などが書かれています。補遺としてSLAPP一般の解説、カリフォルニアでのアンチ・スラップ賛同団体のリスト。さらにアンチ・スラップ法の模範となる案について掲載しています。

この概略をジャーナリストの粥川準二氏が翻訳し、公開しています。
みずもり亭Blog @ journalism.jp ジャーナリストの「反SLAPPモデル」

読んでいて目に留まったのは、最初にアンチ・スラップの成文法ができたのは、1989年、ワシントン州においてということです。SLAPPと言えば、カリフォルニア・アンチ・スラップ・プロジェクト(CASP)の活動拠点となり、スラップ・リソース・センターが事例相談を受けつけているカリフォルニア州での展開が有名ですが、カリフォルニア州で成文法ができたのは1992年でした。また、SLAPPは主に企業など商業団体が起こす訴訟が中心ですが、近年では弁護士集団や郡当局(州の下部行政単位)といった行政機関まで起こすSLAPPが見られるようです。
| slapp | SLAPP基本情報 | 00:20 | comments(0) | trackbacks(1) |
スラップ・リソース・センター
slappstatelaws

現在、アメリカの各州でどの程度、アンチ・スラップ法が制定されるに至っているかを、カリフォルニア・アンチ・スラップ・プロジェクト(CASP)のまとめをもとに図示すると、上図のようになります。赤がアンチ・スラップ法もしくはそれに準ずる法がある州と地域、ピンクがアンチ・スラップが司法原則として機能しているところです。(地図外の読み取りにくい字は、ハワイとグアムを指しています)またアンチ・スラップ法が、法案として検討されている州が(過去も含め)10州あります。

実は上記と同じ図が、SLAPPの概念の産みの親、ジョージ・W・プリング(法学者)とペネロープ・ケイナン(社会学者)らが、昨年(2006年)からはじめたSLAPPの情報源サイト「スラップ・リソース・センター」(SLAPP Resource Center (SRC))のstate lawsというページで公開されています。「スラップ・リソース・センター」は、SLAPPの事例紹介、各州法の紹介、関連サイトのリンク集となかなかの充実ぶりで、SLAPP被害者の駆け込み寺的役割も果たしているようです。アンチ・スラップの広がりは、まさに今日的な動きのようです。

◇参考
Other States: Statutes and Cases
SLAPP Resource Center
| slapp | SLAPP基本情報 | 23:35 | comments(0) | trackbacks(5) |
アメリカのSLAPP つづき
カリフォルニア以外の州
少なくとも24の他の州や地域が、カリフォルニアと同様、市民をSLAPPから法的に保護する法制度をもっている。以下の各州がそれにあたる。アーカンソー、デラウェア、フロリダ、ジョージア、グアム、ハワイ、インディアナ、ルイジアナ、メーン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ミズーリ、ネブラスカ、ネバダ、ニューメキシコ、ニューヨーク、オクラホマ、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、テネシー、ユタ、ワシントン、ウェストバージニア。
(訳者注・・・カリフォルニア・アンチ・スラップ・プロジェクトのサイトによるとコロラド州も成文法はないが、SLAPPの司法原則がある)

連邦
合衆国の連邦法においては、SLAPP法に相当する直接の法律はない。近いもので同じような役割を果たす法理には、連邦反トラスト法にあるノエル・ペニントン原則がある。ケイナンとプリング(SLAPPの主唱者)によると、おそらくこの状況は、連邦と州のレベルで民事訴訟の訴訟手続きの条件が異なるからとされている。

カリフォルニアと多くの州は、事実に基づく主張についてのみの極めて特定された訴訟が許されるとする「法典による訴訟手続き」(code pleading)体制のもとにある。したがって、アンチ・スラップの動議が合法的な主張でなくなってしまうリスクは少ない。というのも(SLAPPの)原告になる者には、提訴前に、自身の異議が事実にもとづくものであることを精査しておかなければならないという負荷が課されているからだ。対照的に、連邦の民事手続きは、近年になればなるほど、請求内容の簡潔な通知をもってするだけで、訴訟が成立するとする「通知による訴訟手続き」(notice pleading)体制のもとにある。そういった体制は、原告がまず最初に訴訟を起こし、成文法主義の限界(それは確かに「法典による訴訟手続き」の大きな問題ではあるのだが)を心配することなく、もろもろの事実を後付けで見出していくことを可能にしている。しかし「通知による訴訟手続き」も、多くの合法的な主張を結果として却下し、本来許されるべきアンチ・スラップの動議に、深刻な不利益を与えている。

ただ連邦控訴裁判所は、カリフォルニア州の訴訟当事者に、カリフォルニアにある連邦地方裁判所で、少なくとも一度はカリフォルニア州の法に基づく主張を聞き入れる補足的な司法原則によって、カリフォルニア独自の特別な動議を提起することを許可している。


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
| slapp | SLAPP基本情報 | 05:53 | comments(0) | trackbacks(31) |
アメリカのSLAPP
カリフォルニア州
アメリカのカリフォルニア州は1992年、SLAPP訴訟の濫用を防止する目的で民事訴訟法[Sec. 425.16.]を成文法として制定した。この法によって、被告となった者は、請願権あるいは表現の自由の範囲内の行為にもとづく訴えとして、被告となった訴訟の初期段階で、不平を訴える特別の動議を提起できるようになった。この法律は、検討中もしくは立法・行政・司法上進められ再検討中の問題、あるいは法律に則ったいかなる公的な手続きに対しても、それらに関連して行われた文書や発言に対して、明白に適用される。ただし公的機関によって公表された文書や発言には適用されない。またこの法律は、公衆の関心事に公開の話し合いの場で発言したり、その他公衆の関心事について請願したり、発言したりするいかなる場合にも適用される。

SLAPP行為に反訴することは、原告が訴えを修正してくることを防ぐことができるし、すべての証拠開示手続きを一時停止させることができる。もし特別動議が否定されたなら、原告被告それぞれが要求する訴因に関して、訴えが法廷での手続きに速やかに移行される。アンチ・スラップの動議(それに付随するいかなる行為も含め)が功を奏した被告は、弁護士費用として妥当な裁定額を強制的に回収する権利が与えられる。

カリフォルニア州の民事訴訟法[Sec.425.17]は、アンチ・スラップ法の濫用を(避けるために)訂正された。2003年9月6日に公布されたこの法によって、ある種の公衆の関心事に関する訴訟や集団訴訟、または商業上の発言や行為にもとづく企業への訴訟に対して起こすアンチ・スラップの動議は禁止された。2005年10月6日に公布された民事訴訟法[Sec.425.18]によって、SLAPP訴訟の犠牲者が、SLAPPの原告に対して、反訴(故意に起こさなければならなかった訴訟)を通して被った被害の回復を促進すること、SLAPP訴訟に従事した弁護士らを解職することを定めた。


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
| slapp | SLAPP基本情報 | 05:43 | comments(0) | trackbacks(88) |
SLAPP Survivorのリストマニア
アマゾンでSLAPP関連書籍をさぐるとそれなりに出てきます。でもSLAPPの経験者がオススメする本ほどSLAPPを考えるのに最適の本もないかもしれません。SLAPPに勝訴した動物愛護家が「黙らされたくない人たちのために」と題する、表現の自由に関する本のリストを公開しています。肩書きがスラップ・サバイバー(SLAPP Survivor)。勝訴というより生還という表現がふさわしいのでしょう。

Amazon.com: "For Those Who Will Not Be Silenced"
| slapp | SLAPP基本情報 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(0) |
SLAPPを解説したサイトはないの?
SLAPP発祥の地、アメリカのサイトでは、(Answers.com)というサイトに、法律用語百科事典(West's Encyclopedia of American Law)からの引用が掲載されています。

Strategic lawsuit against public participation: Information from Answers.com

英語なのですが、ご心配なく。上記サイトの主要部分を、ジャーナリストの粥川淳二氏が翻訳し、公開しています。

みずもり亭Blog @ journalism.jp 「SLAPP」としてのオリコン訴訟

このなかにSLAPPが造語されたときの定義が出てきます。
SLAPPは、四つの条件を満たすとされています。

(1)政府の行動や結果に影響するようなされたコミュニケーションにかかわり
(2)その行動や結果は民事訴訟(告訴や反訴、交差請求)に結びつき、
(3)非政府の個人や団体に対して提訴され
(4)一定の公衆の関心や社会的重要性をもつ、実質性のある問題に関すること

(1)がイマイチわかりにくいですが、訴える側が、裁判所による判決や、政府による刊行物の差し止め、箝口令、身体・行動の拘束など、公権力の行使を求めるということです。
| slapp | SLAPP基本情報 | 19:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
SLAPPって何?
SLAPPは、Strategic Lawsuits Against Public Participation の略で、直訳すると、公に関与することに対する戦略的訴訟、となります。この「公に関与する」とは「公の問題や公人について表現すること」を意味し、「公衆の関心事について、記事やコメントなどを通して、表現の自由を行使すること」です。それらに対して、「名誉毀損など意図的な訴訟を起こす」ことが、スラップに相当します。

つまり、SLAPPとは、公衆の関心事について表現の自由を行使した者に対して起こされた戦略的訴訟、を意味します。大企業やまれに個人が、それらを辛辣に批判した者に対して、訴訟の過大な負担を課すことで、批判を放棄させることを目的とした恫喝的な訴訟を意味します。

SLAPPは、デンバー大学のジョージ・W・プリング(法学者)とペネロープ・ケイナン(社会学者)が、この種の濫訴の研究をしているときに、1984年に造語し使い始めました。もともとは、ある問題について政府の行動を求めるために、公の場で話したり、嘆願したり、その他の行動を起こした人々を、脅し、黙らせること意図した訴訟が起こされる場合を指していました。個人や市民団体が、政府の行動を求めて、表現の自由を行使しただけで、大企業によって、名誉毀損や中傷、業務妨害や共謀などで訴えられることが多かったのです。

しかし今日では、SLAPPの概念は、より広くさまざまな問題について、公の場で表現した個人や団体に対して、あてはまると理解されるようになっています。プリングとケイナンの研究は、正義や公正を求めて提訴するのではなく、相手に精神的、経済的に負荷を与え、萎縮させる訴訟が増えていることに気づいて出発しました。

SLAPPはSLAP(平手打ちする・ぴしゃりと打つ)の発音と同じことから、slappedで、スラップ訴訟を起こされたということを意味するため、スラップは「いじめ訴訟」「恫喝訴訟」とも呼ばれます。


参考:
Strategic lawsuit against public participation: Information from Answers.com
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia, the free encyclopedia
| slapp | SLAPP基本情報 | 19:39 | comments(0) | trackbacks(1) |
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