SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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読売vs新潮・黒薮「押し紙」記事訴訟、第4回終了
読売新聞東京本社・大阪本社・西部本社の3社が、週刊新潮に掲載された記事で名誉を毀損されたとして、発行元の新潮社やジャーナリスト・黒薮哲哉氏に対し、計約5500万円の損害賠償と謝罪広告を求めて訴えている裁判の第4回口頭弁論が1月19日、東京地裁(村上正敏裁判長)で開かれ、期日までに提出された陳述書の内容などを確認し終了した。問題となっているのは、昨年発行された週刊新潮による「『新聞業界』最大のタブー  『押し紙』を斬(き)る!」と題した記事。新潮側代理人の弁護士によると、記事中で示された押し紙比率の推定を立証するため、今後各販売店の陳述書を提出していく予定とのこと。
次回口頭弁論は3月2日、午前10時、東京地裁、526号法廷で開かれる予定。ちなみにこの裁判の係属は、民事第37部、事件番号は平成21年(ワ)23459。

◇参考
新聞販売黒書 2010年1月17日付け記事 
| slapp | 興味深い裁判例 | 22:12 | comments(1) | trackbacks(0) |
読売vs偽装部数調査報道記者・名誉毀損訴訟、黒薮氏全面勝訴
20091016判決後 
(ごぶさたしております。この間、オリコン訴訟が終結するなどさまざまな動きがありました。管理人としては、このブログはデータベース的意味あいの濃いサイトでありたいと考えていましたので、開設のきっかけとなったオリコン訴訟とて特別扱いすることは望ましくないと考えていました。控訴審以降、烏賀陽さんが情報をクローズにしたこともあって、その客観的動静が提供できなくなってしまったのですが、そこをスルーしたまま、なにか隠し事があるような感じを抱えたまま他の裁判をフォローし更新していくことは、どうしても気がすすみませんでした。オリコン訴訟の終結に関しては一傍観者として思うところありますが、またいつかの機会に書きます。)

新聞社の偽装部数問題を追及し続けているジャーナリスト・黒薮哲哉氏が、読売新聞西部本社とその社員、江崎徹志、長脇正裕、池本光男の各氏に、サイト上で行った記述が名誉毀損であるとして、2230万円の損害賠償を求めて訴えられていた裁判の判決が、16日、さいたま地裁(片野悟好裁判長)で言い渡され、裁判長は原告の請求を棄却し、黒薮氏全面勝訴の判決が出されました。

裁判は読売側は、黒薮氏が2008年3月、福岡県下の読売新聞販売店の改廃問題を自らのサイト「新聞販売黒書」(URLは現在のもの)で伝えたところ、その表現の一部が名誉毀損にあたるとして、同月、提訴したものでした。販売店改廃にあたり読売側がチラシを持ち去った出来事を、販売店側からみて窃盗という文言をもちいて表現した点などが争点となりました。

判決後、黒薮氏の代理人から、問題となった部分が記事に占める割合や、記事の掲載期間、反論の機会を与えていることなどから、全体として名誉毀損性がないと(判決では)判断されている、とコメントがありました。詳しくは黒薮氏自身のサイトで報告があるでしょう。読売側が控訴すると、裁判は東京高裁で係属します。

黒薮氏は現在、読売新聞側に訴えられている裁判が3件、読売側を訴えている裁判が1件、の計4件の裁判を抱えています。うち1件が高裁まで勝訴、のこりのうち1件が今回の件で、地裁段階で勝訴を得たということになります。
| slapp | 興味深い裁判例 | 20:05 | comments(1) | trackbacks(0) |
読売vs偽装部数調査報道記者訴訟、黒薮哲哉氏全面勝訴
判決報告集会20090330

(管理人、外出のため簡易な更新で失礼します)
30日は、当ブログとしては、偽装部数という言葉を裁判の名称に盛り込むため四苦八苦したあの裁判の判決日でした。。。読売新聞社側が、新聞社の発行部数問題を暴いてきたジャーナリスト・黒薮哲哉氏を訴えた二件の裁判の内のひとつ、読売新聞社員・江崎徹志氏が、著作権の侵害を訴えていた裁判(読売「押し紙」裁判)の判決が、東京地裁で言い渡され、江崎氏の請求は退けられ、黒薮氏の全面的な勝訴となりました。

(一時期、記事が閲覧できなかったようです。ハテ?)
| slapp | 興味深い裁判例 | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
読売vs偽装部数調査報道記者訴訟、1/28傍聴
読売新聞西部本社の法務室長・江崎徹志氏が、新聞社の偽装部数問題を報道し続けてきたジャーナリスト・黒薮哲哉氏を、著作権法に違反したとして訴えている裁判が、1月28日、東京地裁で開かれ、証人尋問が行われました。この裁判は、黒薮氏が長年追っている、読売と訴訟にまで発展した販売店問題(通称真村裁判)の動向を、江崎氏が送付したFAXやメールを引用しつつ自らのサイトで報じたところ、その公表が権利の侵害にあたると訴え、その差止を求めているもの。この裁判以外に江崎氏は、他の読売社員2名と読売新聞西部本社の連名で、黒薮氏が自らのサイトで行った記述が名誉毀損にあたるとして、2230万円の損害賠償を求める裁判も起こしています。

江崎氏への尋問
法廷ではまず江崎氏が証言に立ち、トラブルとなっている販売店側に送付したFAXが黒薮氏のサイト「新聞販売黒書」に掲載されているのを発見したのち、どういう経緯を経て掲載中止を求める催告書を送付したのか、江崎氏の著作権に関する理解とはどういうものかといった点を中心に、質問に答えました。

江崎氏によると、2007年12月、トラブルとなっている販売店(正確には代理人)に送付したFAXが黒薮氏のサイトに掲載されているのを発見、「交渉ごとなので第三者に公開されるとまずいと思った」ため、販売店対処の代理人を務めている喜田村洋一弁護士に相談。「公表権・複製権の侵害にあたるとアドバイスを受け」、法務室にあった著作権に関係した本を数冊読み、自ら催告書を作成。弁護士に見てもらって修正を経たのち、メールで黒薮氏に送信。その後の対応は弁護士に「おまかせ」したと述べました。催告書の著作物性に関しては、問題の文書の「どの部分に創作性があるのか?」との質問には、「どこかと言われれば、全体としか言いようがない」、「私が自分で書いたので、私の著作物だと思った」と答えていました。

印象に残ったこととして、裁判官が、江崎氏に「(会社で)催告書を作成することはありますか?」と質問したとき、黒薮氏に対してが「初めて」と明かしただけでなく、その流れで、「部下たちは催告書を作成していると思います」(筆者強調)と、部下の業務を把握していないかのように感じさせる発言がありました。催告書とは、相手に一定の行為を請求するもので、応じない場合は法律上不利益な扱いを受けることがあると通告する文書なので、もし法務室の社員がそうした文書を作成するなら、上司への確認、少なくとも報告があるのでは、と引っかかりました。江崎氏は一方で、今回の催告書送付は、「事後に社内に報告した」と述べていました。

黒薮氏への尋問
次に黒薮氏が、サイトで催告書を掲載するに至ったプロセスと、この訴訟がもたらす社会への影響について証言。黒薮氏は、新聞社の不正を追いはじめた原点から語り、江崎氏よりも、はるかに長い時間軸で事態の背景を説明しました。

黒薮氏は、新聞業界紙の記者を経験後、97年からフリーに転じ、新聞の偽装部数、いわゆる押し紙問題の取材に着手。以後、出版物やウェブサイトで問題提起を続けてきました。なかでも継続的に報道し続けてきた事例に、真村久三氏(福岡県)の経営する読売新聞の専属販売店と読売本社との経営権をめぐるトラブルがありました。このトラブルは裁判にまで発展し、真村氏が、2007年6月、高裁で勝訴しました。押し紙の存在も認められた画期的判決は、その後、確定しています。法廷でも黒薮氏は、「新聞社と販売店との訴訟で、高裁でも新聞社が負けたのは、自分が知る限り初めて」と語っていて、非常に注目に値する裁判でした。勝訴後、真村氏は損害賠償を求めて本社側を提訴し、緊張は継続しています。

真村氏販売店と本社の間ではトラブルになって以来、6年間も交流がなく、新聞供給元が販売店と接触しないという異常な状況があったそうです。そんな状況下で、本社から訪問したいとの意向が販売店側に伝えられたのです。そのことを知ってニュース性を感じた黒薮氏は、自らのサイトで、この事実を報じました。この際黒薮氏は、江崎氏が真村氏代理人の江上武幸弁護士に送付したFAXを資料として掲示。その後、江崎氏から催告書が送付されてきたため、再度、催告書もあわせて示し、読者に動向を知らせたところ、司法へと訴えられたのです。

尋問で黒薮氏は「報道というのは客観的資料を見せるのが重要」、「内部文書が許可無く掲載できないなら調査報道がなりたたなくなる」と主張しました。ちなみに黒薮氏が、報道に際してはできる限り全部資料を見せた方が望ましいと述べたため、喜田村弁護士は、黒薮氏がサイトで資料を引用する場合は必ず全文を引用するのかと同じ内容の質問を連発し、裁判長に「繰り返しなのでやめてください」と注意されていました。引用の常識を知らない人物と印象づけたかったのでしょうか。

管理人の注目点
両者の尋問から重要なポイントだと思われたのは、催告書が黒薮氏にメールで送信されたのち、黒薮氏は江崎氏に真意を問いただすべくメールや電話でコンタクトをしたにもかかわらず、江崎氏は、無回答や先延ばしで、これらにまともに対応せず、内容証明郵便を送るでもなく、司法に訴えたという経過です。江崎氏はそうした理由を、「喜田村弁護士におまかせした後なので返事をしなかった」と説明していました。総じて尋問では、かなり早い段階から、喜田村弁護士への相談→おまかせ、といった弁護士の関与が存在し、催告書をメール送信した後は、対話の可能性を閉ざして、裁判に至っているということが明らかになりました。

次回は2月12日、午後3時、東京地裁、627号法廷で開かれ、結審の予定です。
| slapp | 興味深い裁判例 | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
キヤノン・御手洗vs講談社・斎藤訴訟、経過など
周回遅れ備忘録の更新です。以前フォローしていた、キヤノンと同社会長の御手洗冨士夫氏が、雑誌「週刊現代」に掲載された記事や広告が名誉毀損であるとして、計2億円の損害賠償を求め、2007年10月、記事を執筆したジャーナリスト・斎藤貴男氏と発行社・講談社を訴えた裁判は、昨年12月25日、東京地裁で判決が出され、講談社に200万円の支払いを命じる判決が出ていました。問題となったのは、「キヤノン御手洗会長と七三一部隊」と題した「週刊現代」2007年10月20日号の記事と広告。斎藤氏の書いた記事は、御手洗冨士夫氏の叔父、御手洗毅氏の書いた論文に、戦中日本軍の七三一部隊の関係者への謝辞が書かれていると指摘するものでした。判決では、記事自体は名誉毀損と認められなかったものの、雑誌の表紙と広告の見出しが「省略や誇張の許容範囲を超えている」として、名誉毀損が認められました。<事件番号:平成19年(ワ)26312>


判決を伝える記事をリンクします。
講談社に200万円賠償命令、「週刊現代」でキヤノンの名誉棄損 - IBTimes(アイビータイムズ) - 世界の最新ビジネスニュース
J-CASTニュース : 「週刊現代」名誉棄損訴訟、御手洗会長が勝訴

キヤノンは判決当日にはプレスリリースを出していました。この姿勢そのものは、前エントリーのJASRACと同様、訴訟の是非はさておき、望ましい姿勢だと思います。願わくば、裁判での主張をウェブで公開することです。一方どうもメディア企業は、トラブルの存在を、他の業種の企業以上に第三者に公開したがらない傾向があります。メディア企業のそうした姿勢は、情報強者として存在してきた驕りがあるような気がします。

キヤノン : ニュースリリース

この裁判は、講談社側が控訴しています。裁判期日はまだ未定のようです。
| slapp | 興味深い裁判例 | 11:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
JASRACvsダイヤモンド社訴訟、終結など
周回遅れ備忘録の更新です。日本音楽著作権協会(JASRAC)が、「週刊ダイヤモンド」に掲載された記事を巡り、2005年11月、名誉毀損であるとして約4300万円の損害賠償を求めダイヤモンド社を訴えていた裁判は、昨年12月19日、最高裁の決定が出され、同社に320万円の支払いを命じる東京高裁判決が確定していました。JASRACは5日後にはプレスリリースをウェブで発表しています。

株式会社ダイヤモンド社らに対する訴訟の終結について(JASRAC)

この裁判は昨年8月7日に東京高裁判決が出されていました。このときもJASRACは翌日付けですばやくプレスリリースを出しています。なぜかプレスリリースのフロントページにリンクはありませんが…。

株式会社ダイヤモンド社らに対する訴訟について(JASRAC)

一方、ダイヤモンド社のサイトでは、JASRACと訴訟があったことすら、うかがえません。JASRACが高額請求訴訟を提起した是非はおくとして、組織の説明責任の姿勢として、JASRACのほうが好感がもてます。望むらくは、紛争が起きた時点で、具体的論点をあげてウェブ上で情報発信がなされれば、第三者に検証が可能になるので、一層望ましいと考えます。昨年、JASRACにまつわる悪評のひとつとして伝説化していたオーケン事件(リンク先参照)が、雑誌「ぴあ」の大槻ケンヂ氏自身に取材した記事で否定されているのを目にしました。そうした噂話についてJASRACは積極的に見解を示していけばいいのにと思ってしまいますが、そうした対話型の組織運営は広がらないものでしょうか。

◇参考リンク
日本音楽著作権協会 - Wikipedia
JASRACが二審もダイヤモンドに勝訴、記事で名誉毀損
ナタリー - 大槻ケンヂがJASRAC「オーケン事件」の真相を語る
| slapp | 興味深い裁判例 | 10:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
新銀行東京・内部告発者訴訟、経過など
周回遅れ備忘録の更新です。新銀行東京がメディアを通して内部告発を行った元行員の男性を情報漏えいなどを理由に訴えた裁判について、その後の男性側からの提訴も含め以前とりあげましたが、昨年12月12日には、この男性が提訴をめぐって都庁内で記者会見を開いていました。新銀行東京側提訴の裁判は、非公開審理で進められているようで、12月12日はその審理があった日ですね。一方、男性側提訴の裁判は、2月13日に口頭弁論が開かれる予定と聞いています。後者の裁判は、新銀行東京の提訴に対する反訴ではなく、新銀行東京在籍時のいじめに対する損害賠償を求める別訴としての意味あいをもっています。会見を伝えた記事をリンク、引用します。

情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ): 口封じ!? “恫喝訴訟”をされた元行員が、「新銀行東京」に対して怒りの会見
中小零細企業への融資を目指し、石原慎太郎東京都知事が実質、立ち上げたものの、わずか3年で1千数百億円もの税金を棄損することが確実な「新銀行東京」ーー。その元行員・横山剛氏(40)は12月12日、都庁で記者会見し、退職後に、入社時に署名した誓約書に反して「テレビや雑誌に機密を漏らした」として、新銀行東京が1000万円の損害賠償などを求め提訴したことにつき、「民主主義の根幹を破壊する有権者全体への背任行為だ!」と厳しく批判した。同行に関しては、すでに融資を巡る詐欺容疑で元行員らが逮捕されたり、議員が仲介することで本来は無理、あるいは事業実態のない企業に多数融資がされていた疑惑も出るなど、その実にいい加減な実態が明らかになるなか、「公益性のための言論、表現活動を行う」方が優先されるはずだ。

新銀行東京の機密情報流出訴訟 元行員が会見 - MSN産経ニュース

この裁判をめぐっては、内部告発の場となった「週刊現代」のほかに、月刊「創」2008年12月号で斎藤貴男氏が、週刊「金曜日」2008年11月21日号で平井康嗣氏(編集部)が、記事化していました。いずれも、横山氏側の提訴では、新銀行東京在籍時にモビング(mobbing)と呼ばれる集団的ないじめ・虐待があったという主張が論点になっていることを紹介しています。

当ブログとして気になっているのは、新銀行東京が内部告発者の言論を弾圧するかのような訴訟を行ったことを、新銀行東京の経営にかかわりがある東京都の関係者、とりわけ表現者として活躍してきた、現在、都の要職にある二人の人物がどのように評価しているかです。石原慎太郎知事は、12月12日の定例記者会見で、「訴訟そのものについては、私はこれを云々する必要はないしね」といったコメントをしています(石原知事記者会見(平成20年12月12日)|東京都)。
もう一人、猪瀬直樹副知事は、日本ペンクラブの言論表現委員会の委員長を務めたこともありますし、言論の自由の問題に一家言ある人なので、石原氏とは異なる見解をもっているのか、注目しています。
| slapp | 興味深い裁判例 | 08:00 | comments(1) | trackbacks(1) |
読売対「偽装部数」調査報道記者訴訟、経過など
押し紙と呼ばれる新聞社による偽装部数の問題を追及してきた黒薮哲哉氏が読売新聞によって、著作権と名誉毀損をめぐって訴えられている裁判。一つは読売新聞社員の個人、もう一つは読売新聞社員3人と読売新聞社が原告なのですが、裁判を一体的に言い表すのは難しいですね。黒薮氏の個人名と読売新聞を対照させて裁判を表現すると、訴えた社員個人の責任の重みが明確にならないですし、言論を封じる意図があるのではとの問題意識を表現したいと思ったとしても、それを強調しすぎても、なぜ黒薮氏が新聞社側によって訴えられているのかが伝わりにくい。黒薮氏が新聞社にとっての暗部を追求してきたからこその提訴でしょうから、このエントリーでは、読売対「偽装部数」調査記者訴訟と呼んでみます。

この裁判は、黒薮氏個人とか読売新聞社単独とかの問題にとどまらず、この国で言論・表現の自由に関心をもつすべての者にとって意味があるはずです。一昨年政界で起きた大連立騒動の内幕を読者に知らせようともしなかった読売新聞に、言論の自由の名目など望むべくもないのですが、新聞はもちろんのこと、メディア関係者の多くが、押し紙の問題にふれざるを得ないこの裁判を黙殺している現状には、ある意味、恐怖すら感じます。モノ言えぬ社会を日々再生産するのに手をかしているのは、いったい誰なんでしょうか?

まず、読売新聞西部本社法務室長・江崎徹志氏(提訴時の訴状より)が、販売店に送付した催告書をウェブで引用して報じられたことを違法だとして訴えている、いわゆる著作権裁判。東京地裁にて、10月27日と12月5日に口頭弁論が開かれており、1月28日、午後1時15分から証人尋問が開かれます(おそらく627号法廷)。黒薮氏側は証人尋問で、裁判の争点として、著作物性の有無だけでなく、提訴の権利濫用の点も問題にしていきたいとの意向を法廷で語っていました。2月12日、午後3時からの法廷で結審となる予定です。

対江崎氏という点では、黒薮氏は昨年10月20日に、反訴的な訴訟を福岡地裁に起こしています。その提訴時に黒薮氏は、MyNewsJapanに手記をよせていました。MyNewsJapan:「読売に恫喝された」読売が反撃訴訟提起。その後、12月12日に第一回口頭弁論が開かれています。

もう一方、読売新聞西部本社と、
江崎徹志氏〈同社法務室長〉および、
長脇正裕氏〈同社販売局第二部次長〉、
池本光男氏〈同社販売局次長兼販売第二部〉(各肩書きは提訴時、訴状より)
が黒薮氏に対して、昨年3月、2230万円の損害賠償を求めて起こした名誉毀損訴訟も進行中です。

こうした読売関係の訴訟とオリコン訴訟については、現在発売中の「紙の爆弾」2月号に、橋本玉泉氏執筆の記事が掲載されています。
| slapp | 興味深い裁判例 | 12:38 | comments(1) | trackbacks(0) |
オリコン訴訟、控訴審経過など
しばし管理人の備忘録としてのエントリーを書いていきます。当ブログでとりあげてきた裁判を中心に、フォローできてなかった情報を整理していきます。2つ前のエントリーで、(嫌がらせとしての提訴は違法であるとの主旨をもつ)アンチ・スラップ法は制定されるだろうという見通しについて書きましたが、それは言論・表現の自由の歴史的な展開のなかで考えれば必然的だという見立てであって、日本社会においては一筋縄ではいかないだろうとも考えています。それについては、いくつかの備忘録的エントリーの最後に、「ある人権団体に垣間見える一断面」と題して書いてみたいと思います。

オリコン訴訟に関して。控訴審の第二回口頭弁論が、1月20日、11時30分、東京高裁、820号法廷にて開かれます。→期日未定の延期に。

第一回は11月11日に開かれ、烏賀陽側が証人申請などを行いました。このときの様子は、MyNewsJapanとJANJANが記事を掲載しています。

MyNewsJapan:【オリコン烏賀陽訴訟17】「オリコンランキングは信頼できない」証拠テープを提出、小池社長を証人申請
オリコン控訴審 正副編集長を証人申請−JanJanニュース

12月21日にTBSの「報道の魂」という月一のドキュメンタリー番組が「ある名誉毀損判決の波紋〜オリコンVSジャーナリスト」と題して、オリコン訴訟の経過を中心に報道し、黒薮哲哉氏が訴えられてる読売新聞社による高額請求訴訟も紹介しました。TBSの取材に対し、オリコンの小池恒社長は、訴訟の最中であることを理由に直接は対応せず、代わりに川上エリカ広報企画部長が取材に応えました。以下、番組ページからの引用です。
言論には言論で応じる時代は終わったのか?

ジャーナリストの記事やコメントに対して、書かれた側がいきなり訴訟を起すケースが増えている。しかも巨額の損害賠償を求めるケースが多く、言論活動封じ込め目的?との批判が起こる例すらある。

ヒットチャートで有名なオリコンは、ある雑誌記事により名誉を傷つけられたとして5000万円の損害賠償訴訟を起した。しかも記事の執筆者や編集責任者は訴えず、雑誌の取材先となったジャーナリストだけを訴えるという手段に出た。こうしたオリコン側のやり方に「口封じまがい?」との批判の声もあった。

1年5ヶ月に及ぶ審理の結果、東京地裁の一審判決はオリコン側の訴えを認め、ジャーナリスト個人に100万円の賠償を命じる内容となった。しかし一方で、判決に首をかしげる人も多かった。「裁判所は、口封じまがいの訴訟を、是認するつもりか・・」と。

米国では、言論封じ込めを目的とした訴訟は「SLAPP」と呼ばれ、訴えそのものが門前払いとなることが多い。言論の自由への悪影響を危惧してのことだ。しかし日本の司法界には「SLAPP」という概念そのものがない。審理が長期化すると、訴えられたジャーナリストは裁判対策に忙殺され、勝ち負け以前に疲弊して活動を封じられることすらある。

番組ではオリコン訴訟判決が生んだ様々な波紋について取り上げ、訴訟と言論のバランスをどう取るべきかを考える。

取材:秋山浩之
撮影:若泉光弘
| slapp | 興味深い裁判例 | 09:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
堀江元社長名誉毀損訴訟、対立花隆・日経BP訴訟は既に勝訴で確定済み
堀江貴文元ライブドア社長に関する名誉毀損訴訟のうち講談社との間で争われていた裁判について勝訴判決が出され各メディアが報じています。判決後、堀江氏、週刊現代編集部の両サイドにコメント取材している毎日新聞の記事を引用します。

<名誉棄損>堀江元LD社長勝訴 講談社に4百万円賠償命令(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
元ライブドア社長の堀江貴文被告(36)=証券取引法違反で実刑判決、上告中=が、週刊現代で「闇カジノに参加した」と報じられ名誉を傷付けられたとして、発行元の講談社に約5000万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(広谷章雄裁判長)は24日、400万円の支払いを命じた。
 問題となったのは、「ホリエモンが興じたヒルズ族“高級闇カジノ”一部始終」の見出しで同誌が報じた06年9月16日号の記事。元社長をカジノで見たという目撃者が証人尋問に出頭しなかったため、広谷裁判長は「記事が真実である証明はない」と判断。「裏付け取材は十分ではなかった」とも指摘した。
 堀江元社長の話 事実無根の記事で当然の勝訴。この結果を反省し、不確実な情報源をうのみにして記事にしないでほしい。
 週刊現代編集部の話 誠に残念。証人が原告側からの威嚇行為におびえた結果、出廷できなかった。

さて、堀江氏が起こした名誉毀損訴訟のうち、ジャーナリストの立花隆氏・日経BP社に対するものについては、以前当ブログでも紹介し、堀江氏側による5000万円の損害賠償と謝罪広告掲載の請求に対し、10月3日に東京地裁で、立花氏側に200万円を支払いを命ずる(謝罪広告掲載は認めず)判決が出ていました。

その後の経過を報じたマスコミは目にしていませんが、当ブログは、10月24日付で立花氏側敗訴の地裁判決が確定していることを、裁判記録で確認しています。

裁判の過程で立花氏側は、アメリカで公人に対する名誉毀損訴訟でしばしば争点となる、「現実的悪意」を論点のひとつとして主張していましたが、認められませんでした。「現実的悪意」とは、「当該言明が虚偽であることを知っていて、あるいは虚偽であるかを一向に意に介さず、あえて表現を行う」といった場合を指し、そうでない限り表現の自由は最大限保障されるべきだとして参照点となっている概念です。裁判所の判断では、まずもって一企業人であった堀江氏を公人とは認めていなかったのが、印象的でした。

ちなみに記録によると、賠償請求額の根拠の参考に、立花氏がコラムを書いていた日経BPのサイトの閲覧数の資料が提出されていました。ウェブサイトの閲覧数と社会への実際の影響力をどのように評価すべきなのか、現時点で何か目安となる評価法は存在するのでしょうか。雑誌の刊行数や販売数とサイトの閲覧数の評価法には、違いはあるのか否か、関係した判例は蓄積の途上にあると思われるので、今後の調査の課題です。
| slapp | 興味深い裁判例 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
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