SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
カナダ政府が遺伝子組み換え批判勢力に圧力?
ISIS(Institute of Science in Society )は、科学分野に対する、一般市民の批判力をもった理解を養うために活動しているイギリスの非営利団体で、とりわけ遺伝子組み換え(GM:Genetic Modification)についての情報を社会に提供している団体です。この団体のウェブサイトをみると、2007年8月30日付けで、「Biotech Canada SLAPP Scandal」というリリースが公開されていました。

それによると、カナダ政府の農業と農産物に関する省庁が、アイルランドとイギリスにおいて遺伝子組み換え食品に反対する運動を繰り広げているGM-Free Ireland Network と GM Watch の2団体に対して、SLAPP的な行動に出ているというのです。以下、紹介するのはあくまでISISの主張です。

遺伝子組み換え作物に関して、最近大きな問題を引き起こしたのは、2003年に発表された「Btコーンと従来からあるコーンに対する農業学と消費者の考慮すべき事柄」という論文でした。『ブリティッシュ・フード・ジャーナル』に掲載されたもので、翌年、優秀論文として受賞まではたしている論文です。執筆者の一人は、カナダ政府から資金を得つつ、遺伝子組み換え反対運動を批判しているロビイスト、シェーン・モリスでした。論文は、消費者が遺伝子組み換えされていないコーンと遺伝子組み換えコーンとどちらを好むかを調査したもので、遺伝子組み換えされたコーンをはるかに好むと報告するものでした。(Btコーンは遺伝子組み換えによって摂取した害虫を駆除してしまう効果をもったトウモロコシです。)

その後、この論文のもとになった調査を、『トロント・スター』の記者、スチュアート・レイドローが検証を試みたところ、調査の期間中、遺伝子組み換えされてないコーンの置き場所には、「虫食いのあるコーンは食べたいですか」と書かれていた一方で、遺伝子組み換えコーンの置き場所には、「さあ、高品質のスウィートコーンができました」と書かれていたことが発覚しました。この事実は、ロビイストらによる論文には書かれていませんでした。優秀論文とされたものがはたしてそのようなバイアスのかかった方法論で作成されるのは許されるのか?、レイドローが指摘したケースだけなのか?と大騒動となったのです。

ISISの関係者は、先の論文の研究法に反対を表明しましたが、『ブリティッシュ・フード・ジャーナル』の執筆者のなかには調査法のバイアスを認める者もいる一方、同誌の編集者はどっちつかずの態度でいるそうです。

プレスリリースでは、カナダ政府が第三者をつかって裁判を起こし、遺伝子組み換えに反対する、GM Free Ireland や GM Watch のサイトをウェブ上から消し去ろうとしていると非難しています。今後もアグリビジネスらの豊富な資金力を背景に、遺伝子組み換えを批判する勢力は脅威にさらされるとしています。

ISISは、遺伝子組み換えを推進しようとする産業のロビイストたちが、バランスを欠いた情報をもたらしている事実が沢山見られるとしています。

このプレスリリースには、具体的な訴訟についての記述がないのですが、カナダ政府がロビイストを使って遺伝子組み換え作物が世の中に受け入れられるよう行動しているのを、言論を歪め封殺する行為だとして、SLAPPと警告しているようです。

◇参考
Biotech Canada SLAPP Scandal
The Institute of Science In Society
Amazon.com: Secret Ingredients: The Brave New World of Industrial Farming: Books: Stuart Laidlaw
| slapp | その他の国でのSLAPP実例 | 09:23 | comments(0) | trackbacks(3) |
カナダのSLAPP つづき
オンタリオ州における、紙パルプ企業、大昭和製紙と先住民の権利運動、フレンズ・オブ・ルビコンとの間の(和解)決定も、SLAPPの事例として、示唆的である。企業である原告、大昭和製紙が被告、フレンズ・オブ・ルビコン・インディアン・バンドに、大昭和製紙の行動はSLAPPとしてのものではなかったと和解条件で認めさせようとしたのは退けられた。

政治的な名誉毀損訴訟や法廷地あさり(自己に有利な地で訴訟を起こすこと)は、どちらもカナダではよくあることで、SLAPPと呼ばれている。なぜならそのような訴訟は、被告に対して、不慣れな訴訟に応え、時として(概して選挙活動によって)多忙と資金不足にある被告たちに重い負担を課すことになるからである。どちらのタイプの訴訟もカナダ特有であり、政治的な意図が込められているのか、明らかにSLAPPとは異なるものなのか、吟味してみてもほとんど意味がない。


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
Friends of the Lubicon
インターネットによる市民運動−企業ボイコットの論理・機蔽翅射保)
ルビコン問題など(グレーター・バンクーバー移住者の会)
| slapp | その他の国でのSLAPP実例 | 11:02 | comments(0) | trackbacks(7) |
カナダのSLAPP
カナダにおけるSLAPPで最初のひとつといえるのが、フレイザーとサーニッチ地区住民の事例である。ブリティッシュ・コロンビア州最高裁は、サーニッチ地区住民に対するある病院長(フレイザー)の訴えを却下した。裁判所は、原告のフレイザーが、自らの病院施設の再開発計画に反対したサーニッチ地区の住民を脅し黙らせる目的で、意味のない裁判を提起したと判示した。この裁判の後、2001年4月、ブリティッシュ・コロンビア州で、「公への関与保護法」(PPPA)が施行された。2001年8月、同法は撤回された。
(訳者注・・・他の様ざまな法律の修正によって代替されたもよう)

「公への関与保護法」(PPPA)の適用が最初に議論された例は、ホーム・エクイティ・ディベロップメントとクロウの事例だ。被告による提訴却下申請は、退けられた。被告は、原告の訴えに妥当性がないことを被告が証明しなければならないとする「公への関与保護法」が求める立証責任を果たすことができなかった。それは、原告は不適切な目的で提訴したわけではなく、訴訟は特定の事業への公的な批判をする被告を封じ込める目的ではなかったことを証明しなければならない、というものである。
(訳者注・・・この裁判は、もともとはクロウ(からす?)を原告とし、開発業者を被告とする裁判として提起され、それに対する業者による反訴的行動の局面で、立証責任が業者に課されたものと思われる)


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
BILL 10 -- 2001 : PROTECTION OF PUBLIC PARTICIPATION ACT
Revised Statutes and Consolidated Regulations of British Columbia
| slapp | その他の国でのSLAPP実例 | 23:37 | comments(0) | trackbacks(21) |
南アフリカのSLAPP
世界最大のプラチナ採掘企業、アングロ・プラチナ(AngloPlatinum)と、その子会社で世界第二の採掘企業、アングロ・アメリカンPLC(Anglo American PLC)は、南アフリカの公益弁護士で、部族の土地をプラチナ採掘によって汚染された先住民のコミュニティを代表する弁護士、リチャード・スプールをSLAPPで訴えた。二企業の行動は、高等裁判所でのいわゆる発言禁止命令の申請を含むもので、彼をこれ以上企業への名誉と評判を貶めることから遠ざける名目で、弁護士会(司法界?)に職業倫理違反で苦情を提出し、およそ5000万ドルの損害賠償を求める民事訴訟を起こした。さらにアングロ・プラチナは 二部族の長が採掘作業に干渉するのを禁止する(令状なしの)一方的な命令を獲得し、彼ら二人を恐喝と不法侵入の罪で逮捕させた。その後、二人の部族長を継ぐ者たちは、部族の土地での採掘に抗議すると、銃で撃たれ、殴られ、逮捕された。


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
| slapp | その他の国でのSLAPP実例 | 00:45 | comments(0) | trackbacks(13) |
ニュージーランドのSLAPP
SLAPPで、ニュージーランド最初の有名な事例は、1997年に、弁護士のピットとムーアが、環境運動団体・Native Forest Action(天然林保護運動)に対して起こした訴訟である。これは、ニュージーランド西岸において、国営の森林保全企業(ティンバーランド)が天然林を伐採しようとするのに反対する直接行動を、運動団体がとった最中に起こされた。

2004年には、同国のインディペンデント系ニュースウェブサイト「スクープ」が、同国の環境保護団体・グリーンピースがつくったケンタッキー・フライド・チキン社のパロディーサイトにリンクしていたところ、同社の弁護士によって訴えられた。

2005年、ニュージーランド最大の石炭採掘会社「Solid Energy」は、環境裁判の聴聞において、環境団体の「Buller Conservation Group」と「Royal Forest & Bird Protection Society of New Zealand」に対し、ニュージーランド西岸で彼らが新鉱採掘に反対することで失った費用を弁済するよう求めた。

2007年、「Solid Energy」は、環境団体「Save Happy Valley Campaign」が、環境報告書を出版しようとしたのに対し、裁判所の差し止め命令を求めた。
(この件、現在進行形)


◇参考
Strategic lawsuit against public participation - Wikipedia
(Wikipediaからの翻訳シリーズ、Wikipediaの特性上の問題は一旦棚上げ)
| slapp | その他の国でのSLAPP実例 | 01:48 | comments(0) | trackbacks(63) |
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

このページの先頭へ