SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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カリフォルニアのアンチ・スラップ法(9)
(e)却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バックに反対する側は、必要とする証拠開示手続きを得るため、(審議)継続への一方的な申し立てを提起してよい。その動議に反対するのが正当であると根拠を示すのに不可欠な事実が存在するようであるならば、その時点で明確に存在すると言えないとしても、裁判所は、反対者に、宣誓供述書を得て、証拠開示手続きを行い、その他一切の正当であると示すための進行手続きを許可することで、合理的な(審議)継続を認める。

(f)もし裁判所が、却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バックはばかげたものであり、単に不必要な遅延を意図していると認識したならば、裁判所は、裁判費用と相当額の弁護士費用とを、128.5.項に従って、その動議において優勢となった原告に(賠償金として)与える。

(g)却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バックを拒否する命令の発動、もしくは、スラップ・バックの主張を抑え込む訴えといわれるような訴因のすべてではないにしてもいくつかに関する特別動議を承認するならば、被害者側は、その決定が書面で出されて20日以内に、法廷での(召喚)令状に基づく、適切な裁判の再検討を願い出てよい。

(h)却下の特別動議は、そのスラップ・バックが法的にみて違法であったような従前からの訴因の訴えや主張をする側によるスラップ・バックに対しては、提起されない。

(i)本項は、公的な団体によるスラップ・バックの訴えには適用されない。

以上、翻訳したものは2005年10月5日施行されたもの。
◇参考
California Code of Civil Procedure Sec. 425.18.
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 12:27 | comments(0) | trackbacks(37) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(8)
(c)425.16項の細目(c)、(f)、(g)、(i)および904.1項の細目(a)の13節の規定は、却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バックには適用されない。

(d)(1)却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バックは、以下に定めるような期間のうちのいずれかの時点で提起される。
(A)訴えの提起から120日以内。
(B)裁判所の裁量次第で、訴えの提起から6ヶ月以内。
(C)裁判所の裁量次第で、被告に過失がなく、裁判所が特殊事情と環境にあると文書で言明した特殊な事例は、いかなる後の時点でもよい。

(2)その動議は、裁判所の(未決の)訴訟案件の状況が後の尋問を必要としていないならば、その動議の提出から30日を超えないうちに、裁判所の事務官によって、尋問の日が設定される。

(つづく)
(注)今回訳した部分で(c)“A special motion to strike a SLAPPback ”がひとつの語句を成しているような場合、この語句を“スラップ・バックを却下する特別動議”と解釈すべきなのか、それとも、“却下の特別動議(その一形態としての)スラップ・バック”と解釈すべきなのか、はっきりわかっていません。本項では後の(d)(e)(f)(g)でも出てきます。文法上は前者の解釈も成立すると思われますが、後者のように解釈したほうが、条文全体の意味が通る気がするのです。スラップ・リソース・センターの解説を読むと、スラップ・バックはSLAPPを被った側が対抗措置として起こす反対訴訟を意味しているはずであり、本項はそのことについて定めた条項だと思われます。なので、後者の解釈のように“ special motion to strike”と“SLAPPback”の関係は、スラップ・バックに重心がおかれ、前者が後者を形容するような表現であると、暫定的に解釈しています。よって、以後その方向で訳してみましたが、文法上の関係が必ずしも説明できません。はっきりした解釈がわかる方は、ご教示いただければ幸いです。法律ということもあって逐語訳に努めていますが、現訳は参考程度のものとご理解を。
◇参考
California Code of Civil Procedure Sec. 425.18.
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 21:42 | comments(0) | trackbacks(2) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(7)
■カリフォルニア民事訴訟法 
Sec415.18. スラップ・バック

(a)議会は、スッラプ・バックは、一般的な悪意のある行為の遂行とはその性格も由来も区別できると、確認し言明する。さらに議会は、スラップ・バックは、本項が規定するように、一般的な悪意ある提訴とは異なる取り扱いをされるべきであると、確認し言明する。なぜなら、スラップ・バックはSLAPP(公けに関与することに対する戦略的訴訟)訴訟への抑止効果と参加型民主主義への公衆の信頼回復をもたらすことにより、憲法上の言論の自由の権利と請願権の正当な行使を護ろうとする議会の意志するところと首尾一貫しているからである。

(b)本項の目的に沿い、次の用語は、以下のような意味を指す。
(1)スラップ・バックは、悪意のある提訴及び425.16.項による却下の特別動議に従って退けられる前の訴因の訴えや主張にもとづく(法的)手続きの濫用に対する、すべての訴訟上の行為を意味する。
(2)却下の特別動議は、425.16.項に従ってなされる動議を意味する。

(つづく)
◇参考
California Code of Civil Procedure Sec. 425.18.
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(1) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(6)
(d)細目(b)と(c)は次のような場合にも一切適用されない。
(1)カリフォルニア憲法第1条の2項、あるいは証拠規定の1070項の細目(b)に挙げられている人物、もしくは公衆に対して伝達する情報の収集、受信、加工に携わる一方で、意見の宣伝をしたり本や学術誌で発表したりすることに携わっている人物。

(2)あらゆる演劇的、文学的、音楽的、政治的、芸術的な−それは限定されるわけではないが次のようなもの、映画やテレビ番組、一般に流通する新聞・雑誌に掲載された記事を含む−活動の、創造、宣伝、展示、(個別具体的な)広告、その他同様の販売促進に携わっている人や実体に対して起こされた訴訟。

(3)連邦、州といった地方政府の補助、賞金、プログラム、役務提供への償還により年度収入の5割以上を得ている非営利組織。

(e)もし予審法廷が、その訴訟や訴因が本項に従って免除されることを根拠に、却下の特別動議を否定したならば、425.16項の細目(j)と904.1項の細目(a)の13節の上訴規定は、その訴訟や訴因には適用されない。

以上、翻訳したものは2004年1月1日施行されたもの。
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.17
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 15:01 | comments(0) | trackbacks(20) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(5)
(c)425.16項は、主に商品やサービスの販売や賃貸借のビジネスに従事する人−それは、限定されるわけではないが次のようなもの、保険業、証券業、金融商品販売業を含む−に対して起こされた訴訟で、以下のような条件が両者ともに存在するならば、そのような人による声明や行為に由来する訴訟には、一切適用されない。

(1) その声明や行為が、当事者やビジネスの競合者によるビジネス上の活動や商品・サービスに関する事実の代理的表現、−当事者による商品やサービスそのもの、もしくは当事者の商品・サービスを供給する過程でなされた声明や行為に対する、認知を獲得する目的でなされたり、それらの宣伝、販売、賃貸借を確保し、商取引を行おうとする目的でなされている−から成るものである(場合)。

(2) その(動議の)意図する聴衆が、現実のあるいは潜在的な買い主や顧客であったり、さもなければ現実のあるいは潜在的な買い主や顧客に対して、もしくは通常の認知獲得の過程やその進行、調査といったことに総じて由来する声明や行為に対して、そのような言動(statement)を繰り返しているような人であったり、影響を与えることを目的としている人である(場合)。ただし、その声明や行為が、カリフォルニア公益事業委員会にまで持ち出される途上の電話会社によるものであったときか、競合相手によって起こされた訴訟であるときは、その声明や行為が重要な公的問題であったとしても、その限りではない。

(つづく)
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.17
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 23:59 | comments(0) | trackbacks(17) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(4)
■カリフォルニア民事訴訟法
Sec425.17

(a)議会は、425.16項のカリフォルニア・アンチ・スラップ法の目的と立法趣旨に反し、不当さを是正するための憲法上の言論の自由の権利や請願権の行使を侵害する、425.16項の(訴訟)妨害的な濫用が存在することを、確認し言明する。議会は、公的に意義ある事柄に継続的な関与を促すことは公益に適い、そのような関与は司法手続きや425.16項の濫用によって萎縮させられるべきではないと、確認し言明する。

(b)以下のような条件がすべて存在するならば、単に公衆の関心事に関わる、もしくは一般的社会のためになるといった理由では、425.16項は、いかなる行為にも適用されない。
(1)原告が、一般社会もしくは原告が一員であるところの集団が求める救済と異なるか、もしくはそれ以上の救済を求めてはいないこと。
(2)その行為(原告の訴え)が、もし成功すれば、公益に影響を及ぼす重要な権利を強化し、賠償金が課されるにせよ課されないにせよ、一般社会もしくは広範な集団の人々に重要な利益を与えること。
(3)私的な(法)執行が不可欠であり、その問題における原告の利害に関して、原告に不釣合いなほどの金銭的な負荷がかかっていること。

(つづく)
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.17
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 16:12 | comments(0) | trackbacks(23) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(3)
(Sec.425.16 つづき)

(f)特別動議は、訴え者による申し立て60日以内、もしくは裁判所の自由裁量によって適当と思われる期間を経過した後も可、に提出できる。その動議は、裁判所の(未決の)訴訟案件の状況が後の尋問を必要としていないならば、その動議の提出から30日を超えないうちに、裁判所の事務官によって、尋問の日が設定される。

(g)この動議のすべての進行手続きは、本章に従ってなされる申立通知書の提出にもとづいて停止される。進行の停止は、その動議の決定命令の通知書が出されるまでは効力を持ち続ける。裁判所は、動議の通知に基づき正当な理由が示されている場合には、このような細目にかかわらず、行使されるべき特別動議の進行を命じてもよい。

(h)本項の目的に則り、訴えとは反対側の訴えと請願を含み、原告とは反対側の訴えと請願を含み、被告とは反対側の被告と応答も含める。

(i)却下の特別動議の可否の命令は、904.1.項に従って、上訴が可能になる。

(j)(1)却下の特別動議を提起したいかなる当事者も本項に従うし、その却下の特別動議に対抗する提起をした当事者も本項に従う。以下の、いかなる手段を用いた動議の提出が法務協議会に対してなされても、即座に従うことになる。Eメール、ファクシミリ、裏書された書類、その動議や反論についての書類化された説明文、上訴の通告や令状の請願にかかわるあらゆる書類、却下の特別動議の可否の命令、その進行(過程でのやりとり)、訴訟費用といったすべてを含む、本章に従って発せられる命令に則ったあらゆる書類。 (2)法務協議会はこの細目に従って提出された公的な記録情報を少なくとも3年は保存し、マイクロフィルムもしくはその他適当な電子メディアに収蔵する。

以上、翻訳したものは2005年10月5日施行されたもの。
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.16
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 17:28 | comments(0) | trackbacks(189) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(2)
(Sec.425.16 つづき)

(3)もしその原告が裁判で勝つ見込みがあると立証できると裁判所が決定したとしても、そのような決定や決定の事実*のどちらもが、その訴訟におけるいかなる段階の審判やその後のいかなる訴訟においても、明白に認容されることはない。立証責任もしくはその他裁判で適用される立証の程度は、その後の訴訟のいかなる段階もしくはその後のいかなる手続きにおいても、その裁判所の決定の影響を受けない。

(c)いかなる訴訟も(b)項に従い、却下の特別動議において勝ちえた被告は、弁護士費用と裁判費用の弁済を受ける権利を与えられる。もし裁判所が、却下の特別動議はばかげたものであり、単に不必要な遅延を意図していると認識したならば、裁判所は、裁判費用と相当額の弁護士費用とを、128.5.項に従って、その動議において優勢となった原告に(賠償金として)与える。

(d)本項は、カリフォルニア州の検事総長、地方検事、検察官の代理を務める民間の弁護士といった人々の名の下においてなされる執行行為に対しては、いかなる場合にも適用されない。

(e)本項においては、「公的な問題について、合衆国もしくはカリフォルニアの憲法下において、人々の請願や言論の自由の権利の一層の進展をもたらそうとする行為」とは次のような行為を含む。 (1)立法、行政、司法その他法によって根拠付けられた、あらゆる公的な手続きにおいてなされた、すべての著述もしくは口頭による声明、もしくは著作物 。 (2)立法、行政、司法その他法によって根拠付けられたあらゆる公的な手続きにおいてなされた、熟慮と再検討のもとにある問題に関連した、すべての著述もしくは口頭による声明、もしくは著作物。 (3)公衆の関心事に関連して、公に開かれた場や集会場でなされた、すべての著述もしくは口頭による声明、もしくは著作物 。 (4)公的な問題あるいは公衆の関心事に関連した、憲法上の請願権や憲法上の言論の自由の権利の行使に一層の進展をもたらそうとするすべての行為。

*一審での判決の段階(事実が決した段階)のことか?
(つづく)
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.16
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 19:53 | comments(0) | trackbacks(14) |
カリフォルニアのアンチ・スラップ法(1)
カリフォルニアのアンチ・スラップ法はどんな条文となっているのでしょうか?具体的に確認していきたいと思います。なお翻訳は参考程度のものとご理解のほどを。

■カリフォルニア民事訴訟法
Sec.425.16. 憲法で保障された請願もしくは言論の自由の行使の権利に由来する請求権−却下の特別動議

(a) 議会は、不当さを是正するための請願および言論の自由に関わる憲法上の諸権利の有効な行使を萎縮させることを主目的とした、妨害的な訴訟が増加していることを、確認し言明する。議会は、公的に意義ある事柄に継続的な関与を促すことは公益に適い、そのような関与は司法過程の濫用によって萎縮させられてはならないことを、確認し言明する。この目的を達成するために、本章は広く解釈されるべきである。

(b) (1)公的な問題について、合衆国もしくはカリフォルニアの憲法下において、請願や言論の自由の権利の一層の進展をもたらそうとしてさまざまな行為を行う人に対して起こされる訴訟は、裁判所が原告は訴訟で勝つ見込みを立証できていると決定しない限り、却下の特別動議に従う。
(2)そのような決定を行うに際し、裁判所は訴答*を検討し、反対側による法的責任と釈明をはたす宣誓供述書に書かれた内容を、確認しなければならない。

*訴答=書面での弁明 
(つづく)
◇参考
California Code of Civil Procedure s. 425.16
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 23:42 | comments(0) | trackbacks(21) |
メディア・ロー・リソース・センター
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SLAPPについて調べていると、アメリカでは合衆国憲法修正第一条が、言論・表現の自由で始まっていることの重さを痛感させられます。そして言論・表現の自由の担い手としてのメディアの役割を、メディア自身が問い直していく営みが盛んであることに気づきます。

現在の社会では、メディア企業に報道の自由を特権的に認めることが望ましいとは言えませんが、歴史的にみて、権力の監視や言論の自由な流通促進に努めてきた、メディアのジャーナリズムとしての役割は、依然として重要です。力あるものの不正を暴いたり、疑問を呈したりすることの意義がなくなることはありえません。しかしそういった行為は、激しい圧力に晒される恐れがあります。

アメリカでもその圧力が名誉毀損裁判というかたちで加えられることが大きな問題となってきました。メディア・ロー・リソース・センター(Media Law Resource Center)は、英語圏のメディア企業らが集まってつくった、対報道訴訟に対応するための法的情報を供給する非営利組織です。もともとは、(Libel Defense Resource Center)といって、名誉毀損訴訟に対応するための情報源として設立されました。

憲法修正第一条の理念を実現するべく、名誉毀損やプライバシー・その他法的分野に関連する情報を蓄積し、メディア関係者に提供しています。関連法規、訴訟の実例、訴訟への対処法、テーマ別に話し合う委員会と盛りだくさん。しかも企業だけを対象とした情報源ではなく、ブロガーへの訴訟の情報も蓄積しています。

このように言論・表現の自由に的を絞ったメディア横断的な非営利組織は、日本ではちょっと思い浮かびません。メディアが自らの役割に自覚的であるからこそ、このような組織も成立しているのでしょう。
| slapp | アメリカの反SLAPP法 | 07:54 | comments(2) | trackbacks(46) |
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