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大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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日経新聞が内部告発者・大塚将司氏を提訴
10月9日、日本経済新聞社(杉田亮毅社長)は、同社元記者で現在関連会社の日本経済研究センター主任研究員・大塚将司氏が、二つの著書で事実無根の内容を書き、会社の社会的信用や評価を低下させたとして、3000万円の損害賠償と謝罪広告を求める裁判を起こしました。

各紙の報道によると、日経新聞は訴状で、大塚氏が2005年6月に出版した『日経新聞の黒い霧』(講談社)で、日経経営陣の子会社不正関与の疑惑、前社長の鶴田卓彦氏の隠し子疑惑などに言及したこと、今年3月出版した『新聞の時代錯誤』(東洋経済新報社)で、昭和天皇の発言を記録した富田朝彦元宮内庁長官による「富田メモ」のスクープ記事について、広告局元社員のインサイダー事件の印象を弱める目的で掲載日を決めたとの解釈を書いたりしたことが、事実誤認の記述であり、読者に謝った印象を与えると主張しています。

大塚氏は日経の部長職だった2003年、鶴田元社長の公私混同の行動などを非難する文書を株主に送ったことなどから懲戒解雇されました。その後、解雇無効を求めて提訴し、翌年解雇を撤回させ和解、復職を果たし、関連会社の研究員を務めています。今回の提訴にあたって日経は、2004年12月の和解で、大塚氏が鶴田卓彦社長の隠し子疑惑などを虚偽だと認め謝罪していたにもかかわらず、著書で記述したことは悪質だとも主張しています。

『新聞の時代錯誤』は、現在の新聞業界が、いわゆる1940年体制と呼ばれる戦時体制にビジネスモデルの原型をもち、社会のオピニオン・リーダーを自称しながらも、再販制や特殊指定、株式譲渡制限などで業界益ばかりを守り、自ら発するオピニオンと矛盾した存在になっている、と業界の構造的問題を指摘しています。この本の個別の新聞社に関してとりあげた部分は、「富田メモ」掲載の経緯の推測など日経についての記述もありますが、日経同様に社員の不祥事続きの朝日についての記述に一番の紙幅が割かれています。

日経は、経済情報を提供する情報サービス企業としての側面と社会の木鐸を標榜する言論機関の側面の二つの顔を、よく言えば併せ持ち、悪く言えば使い分け、成長してきた新聞社です。大塚氏は著書で、新聞業界がコーポレートガバナンスを発揮する普通の業界になるべきだと主張してきました。一方で日経は、彼が入社当時そうであったという言論機関として復活するべきだと説いてもいました。

この裁判を第三者からみると、和解内容の解釈に違いがあったのではないかと論点が浮上します。ZAKZAKの報道によると、日経の広報は、「再三注意し、真摯な反省と謝罪を求めてきた」とありますが、一方大塚氏は、「報道機関なのだから、紙面で反論できるはずなのに、なぜ今になって裁判を起こすのか理解できない」と提訴の唐突さに面食らっているようです。日経新聞はいつの時点で大塚氏にどのように注意したのか、今回の提訴前に大塚氏に対し、和解の内容を問いただすなどコンタクトをとっていたのか気になります。日経新聞のサイトを見る限り、日経新聞が問題となっている著書の内容に公けに反論した形跡はみられません。

◇参考
日経が大塚元部長を提訴=著書で名誉棄損−東京地裁(時事通信) - Yahoo!ニュース
NIKKEI NET:日経が元社員を名誉毀損で提訴・著書で事実無根の記述
ZAKZAK:「日経は相撲協会並み」高杉氏、因縁バトル激化
| slapp | 興味深い裁判例 | 09:49 | comments(0) | trackbacks(2) |
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