SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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非当事者のオリコン訴訟雑感(3)

控訴審以降、裁判は非公開で進展するようになり、ずいぶん時間が経ってからですが、ある所で烏賀陽さんと直接顔を合わした際に、なぜ非公開で裁判を進めているのですか?と聞いたことがありました。そのときの答えは、「裁判所が公開の法廷を開いてくれないから」というものでした。そんなことあるのかと思い、その理由は?と聞くと、「わからない」と返ってきました。正直言って、私はその説明に納得ができませんでした。非公開での和解の協議を公開法廷よりも「選択」していたから、非公開で推移したのではないでしょうか。

 

その後昨年8月、和解が成立し、「勝訴」との表明が烏賀陽さんから、なされました。彼からはオリコンが非難されていましたが、内容は、サイゾーが両当事者に謝罪し、烏賀陽さんに賠償金を払うものでした(和解調書参照)。いくら当事者でも、そんなレトリック(言葉選び)でアナウンスしていいのだろうかというのが第一の印象でした。その後、出版労連や出版流通対策協議会が、烏賀陽さんの主張を受け売りした見解を発表しました。そうした団体に対しても、編集の不正確さが紛争の原因と認定する内容なのに、業界の教訓とせず、オリコンばかり非難していることに、気分が萎えました。結局、違和感を抱いているのは自分だけかとも悶々としました。

 

和解から2ヵ月近く経った9月26日、新宿「NAKED LOFT」にてオリコン訴訟について和解後はじめて語られるというふれこみで、津田大介氏による烏賀陽弘道公開インタビューというイベントが開催されました。けじめとして聞きに行き、印象に残った点が二点ありました。ひとつは津田氏が、オリコン訴訟についての話題は当初ネットで盛り上がっていたのに、終結したときにはほとんど盛り上がらなかったことを指摘し、ネット(上の言論)は熱しやすく冷めやすいところがあるのがどうしたものか、と漏らした点でした。嘆くようなトーンでしたが、烏賀陽さんに気を使った切り口だなとも感じました。でも、そもそもネット上で論者が何か考察しようにも、和解に至るプロセスについて情報が少なすぎ、肯定的にせよ否定的にせよ、盛り上がりようがなかったのが実情ではないでしょうか。プロセスの情報を出さないで結論だけを聞いて欲しいという情報発信は、ネットの空気感に最もそぐわないもので、関心を持たれなかったのは当然だと思いました。

 

印象に残ったもう一点は、そのイベント用に烏賀陽さんが作ってきたレジュメの中の文言でした。『オリコン裁判の経緯』、『オリコン敗訴宣言。烏賀陽側の逆転勝訴で終結』、『オリコン裁判の問題点まとめ』と3章ほどに分かれたレジュメの最終章の最初の大見出しには、「オリコン訴訟は日本で初めての「SLAPP訴訟」である。」と太字で書かれていました。この文言を目にして、私はイベント中、烏賀陽さんの話をまともに聞けなくなってしまいました。なんだコレ?という思いが脳裏を駆け巡りました。当ブログに関心をもつ読者で、この文言に同意できる人が何人いるでしょうか。いくら自分の体験が特異だからといって、そんなことが書けるとは、どういうことなのか。「日本で初めての○○」。新聞記者が好きそうな修飾語だと思いました。

 

烏賀陽さん自身は‟日本で初めてを根拠づける自説を持っているのかもしれません。しかし訴訟による口封じというSLAPPの概念の核心が当てはまる事例は、あまり深く考えなくても、武富士やクリスタルによるものなど、先行事例はごく自然に思い浮かぶのであり、しかも判決で提訴の違法性の認定まで勝ちとっている被告経験者もいるのです。一審では多くのジャーナリストが傍聴に足を運んでいましたが、そうした裁判で被告を経験した当事者も数多くいました。そうした人たちの経験はSLAPPと考察するに値しないのか。国内の法律専門誌でも批判的言論威嚇目的での訴訟と題した項目の判例解説は、過去に存在しているのです。((4)へ) 

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