SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
<< バーブラ・ストライサンドが起こしたSLAPP | main | 現実的悪意(actual malice)とは何か >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
事実誤認があってもSLAPPなら却下される
Michel Thomas
SLAPPに歯止めをかけるアンチ・スラップの概念は、訴訟の争点となった表現の内容だけでなく、原告の訴訟行為の全体の性質を判断しようとします。訴訟を起こすことも、広い意味では表現行為にあたりますが、それが被告の表現の自由を侵害していないかが判断されるのです。たとえ被告の表現に誤りがあったとしても、悪意や意図的な歪曲がなければ、言論の自由の範囲内のこととしてアンチ・スラップは適用されます。

ミシェル・トーマス(Michel Thomas)は語学習得法の開発者で、ウッディ・アレンら映画スターの語学教師としても有名でした。また彼は第二次大戦中、ナチスに対抗するフランスのレジスタンスとして活動したとするさまざまな逸話の持ち主で、2004年には60年の時を経て米軍の銀星章を受勲した人物です。2005年、90歳で亡くなりました。

2001年4月、『ロサンゼルス・タイムズ』が、トーマスの第二次大戦中の経歴に疑問を投げかける記事を掲載しました。約半年後、トーマスは記事には6点の事実の誤りがあるとして名誉毀損で訴えたのです。これに対して『ロサンゼルス・タイムズ』はアンチ・スラップ法で反訴し、トーマスは公人であること、記事は常識的に解釈して名誉毀損を意味しないこと、記事(の表現の自由)は憲法上守られていること、を主張しました。

トーマスは伝記作家によって本が執筆されたほどメディアに露出していたので、公人といえました。公人と判断されれば、批判的な表現が名誉毀損にあたるとするには、被告に「現実的悪意(actual malice)」があったことを証明しなければなりません。原告トーマスが、『ロサンゼルス・タイムズ』が悪意をもって名誉を傷つけるため、事実を無視して記事を掲載したことを証明しなければならないのです。

このような裁判で原告は、被告が名誉を毀損する印象を与えることを意図していたことを証明する、明白で説得力のある証拠(clear and convincing evidence)を提出しなければなりません。被告側が主張したように、解釈のみにもとづいて名誉毀損が成立しないことは重要な論点です。

トーマスの提訴は2002年2月に却下されました。提訴から5ヶ月足らずでの判断でした。トーマスは毀誉褒貶あるとはいえ、ひとかどの人物だったようです。そういう人物が事実誤認を主張しても(まさにそういう人物だからこそともいえますが)、SLAPPは許されざる行為だったのです。

◇参考・・・画像はThe Washington Postより
Thomas v. Los Angeles Times
Michel Thomas - Wikipedia, the free encyclopedia
Michel Thomas
| slapp | アメリカのSLAPP実例 | 23:08 | comments(0) | trackbacks(1) |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | 23:08 | - | - |









http://slapp.jugem.jp/trackback/37
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2007/03/31 8:41 PM |
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>

このページの先頭へ