SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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「マスコミ市民」8月号の三宅氏記事抜粋
「マスコミ市民」8月号が、“言論への弾圧”を特集にしていることを以前のエントリーで伝えました。そのなかのジャーナリスト・三宅勝久氏による記事の抜粋が、JANJANに掲載されています。武富士に不当訴訟を起こされ、3年7ヶ月もの月日を費やした経験から、不当提訴を支援する専門家、弁護士の存在に疑問を投げかける記事となっています。

武富士事件にみる「名誉毀損ビジネス」言論弾圧に手を貸す弁護士(三宅勝久)

以前当ブログでは、「SLAPPに大制裁が加えられるアメリカ」というエントリーで、SLAPPに関った弁護士らに罰金が課された例を紹介しました。アメリカでも弁護士によるSLAPPへの支援が問題化しているようで、そのエントリーの元となった記事によると、弁護士らへの罰金判決は、訴訟に携わる前の弁護士らに再考を促す契機になると、積極的に評価されていました。

一連の武富士裁判の武富士側弁護を担当したのは、最近叶姉妹の弁護士としてメディアに露出している、弘中惇一郎氏です。「すべての人々の基本的人権の擁護」(代表理事挨拶より)を活動の目的とする、社団法人・自由人権協会で、代表理事を務めています。「論座」2006年12月号(朝日新聞社)には、弘中氏へのインタビューが掲載されていて、その発言が三宅氏の記事でも引用されています。
| slapp | 未分類 | 23:25 | comments(0) | trackbacks(10) |
真実・真実相当性の立証と取材源秘匿のジレンマ
オリコン訴訟についてウェブ上に書かれた記事を読んでいて、以前から重要な論点だと引っかかっていたことがあったので、書き留めておきます。法学者の方のブログ、Matimulog: litigationのエントリー「オリコン訴訟関連:名誉毀損被告の気持ち」で、ジャーナリストが不当提訴に直面した場合、「取材源の秘匿の必要と真実性・相当性の立証とは矛盾するので、その点でも名誉毀損被告となったジャーナリズムはジレンマに立たされる」という問題が指摘されています。

調査報道のように、世間にあまり知られていない事実を報道したジャーナリストが、報道対象から名誉毀損で訴えられ、報道の真実性・真実相当性が争点となった場合、内部告発者のような告発対象と利害を共にする情報源に基づいた報道であればあるほど、公開された裁判の場で真実を証明する要請と、取材源秘匿の記者倫理との間でジレンマにたたされます。

取材源の秘匿は、司法の場でもジャーナリストの職業倫理として認める判断が下されていて、裁判で取材源について証言を拒絶しても、違法とされないことがほとんどです。もちろん報道内容には公益性があることが前提ですし、裁判となった時点で、公開できるなら公開するに越したことはありません。

そういった裁判では、真実の発見・公開によってもたらされる社会への利益、取材源秘匿によって保持される取材・報道の自由への信頼、審理を進める裁判の公正性への信頼といった、さまざまな価値を比較衡量し、公益性を判断することになりそうです。
| slapp | 法律よもやま話 | 17:44 | comments(0) | trackbacks(1) |
小沢一郎・民主党vs「週刊現代」裁判
安倍晋三首相の秘書らによる裁判は、首相の意向を無視して起こすことができるはずもなく、「メディア戦略的に、朝日新聞に対する安倍政権の対応は失敗」(ジャーナリスト・上杉隆氏の「チャンネル桜」でのコメント)[YouTube動画の5分あたりから]とする見方があります。一国の行政の長が、自己に対する批判への対応を、司法にゆだねてしまうことのマズさが指摘されています。

政治家が安易に司法を利用することは、権力の分立という観点からも、疑念を生じさせる行為です。政治家は批判に晒されるのが常であって、力の行使に抑制的であるべきと自覚できているかどうか、多様な言論が流通してこそ民主主義なのだと理解できているかどうか。批判的言論への対峙で、政治家やそのスタッフの政治観、胆力が明らかになります。

民主党・小沢一郎党首の政治観の一端がうかがえるような裁判が進行中です。小沢一郎氏と民主党は、昨年9月、「週刊現代」「小沢民主党代表の“隠し資産”6億円超を暴く」(昨年6月3日号)と題した記事が名誉毀損にあたるとして、発行元の講談社と編集長らに対し、6000万円の損害賠償と謝罪広告を求める裁判を起こしていました。8月10日、東京地裁(松本光一郎裁判長)で判決が下され、「意見の前提となる事実の重要部分は真実」「記事は論評の域を逸脱しておらず、違法とは言えない」と名誉毀損には当たらないとされました。

問題となった記事は、小沢氏の政治資金管理団体「陸山会」が、政治資金報告書に記載している、都内のマンションなど不動産計10件が、小沢氏の個人名義で登記されていたことについて、小沢氏の資産形成が目的ではないか、と疑問を投げかけるものでした。小沢氏側は、政治資金管理団体は団体として不動産の所有者になれないために、小沢氏の個人名義になっていたと反論していました。MSN毎日に、双方のコメントが出ていました。

▽小沢一郎事務所の話 「記事は事実関係を意図的に歪曲(わいきょく)して報道したもので、判決は納得できない。ただちに控訴して高裁の判断を仰ぐ」
▽週刊現代編集部の話 「公人による安易な提訴に対する当然の判断。国会議員への批判の重要性を認めた点は高く評価できる」

◇参考
名誉棄損訴訟:「隠し資産」報道で小沢代表の請求棄却−政党:MSN毎日インタラクティブ
時事ドットコム:小沢民主代表の請求棄却=名誉棄損認めず−週刊現代の「隠し資産」報道・東京地裁
| slapp | 興味深い裁判例 | 13:59 | comments(0) | trackbacks(3) |
「マスコミ市民」8月号の特集“言論への弾圧”
マスコミ市民」(NPO法人マスコミ市民フォーラム発行)という月刊誌があります。最新8月号が言論への弾圧について特集しています。最新号のご紹介のページから特集部分の目次を紹介します。

07年8月号 特集■言論への弾圧■

市民感覚に敏感な記者であれ
嵯峨 仁朗(新聞労連中央執行委員長)

放送への政治介入をやめさせ、放送の独立、自由、自律を
井戸 秀明(民放労連書記長)

個人の信頼でえた、独自の情報ネットワーク
山岡 俊介(ジャーナリスト)

武富士事件にみる「名誉毀損ビジネス」
言論弾圧に手を貸す弁護士
三宅 勝久(ジャーナリスト)
| slapp | 未分類 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
山田厚史氏らへの訴訟、第二回口頭弁論、終了
裁判後報告会、右上方が山田氏
安倍晋三首相の秘書ら3人が、朝日新聞編集委員の山田厚史氏と朝日新聞社を相手に、テレビ「サンデープロジェクト」(テレビ朝日)出演中に、日興コーディアル証券上場維持についての話題が出た際の発言が名誉毀損にあたるとして、損害賠償3300万円と謝罪広告の掲載を求めた訴訟(平成19年(ワ)12295号)の第二回口頭弁論が、東京地裁(藤下健裁判長)で開かれました。訴えに対する山田氏側の陳述書による反論などが確認され、10分ほどで終了しました。

麻原裁判の審理にも使用された傍聴席が96席ある大規模法廷は全席埋まり、控えの廊下にも人が溢れ、大変な人数が裁判の行方を見守ることとなりました。裁判後に開かれた、山田さんを支援する TEAM AAA (よみ:チーム・トリプル・エー)(二木啓孝事務局長)主催の集会も、130人以上が出席。マスメディアがこの経過を報道するかはわかりませんが、実に多くの人々の関心を集めています。

集会で、山田氏の代理人、椎名麻紗枝弁護士は、「(山田氏の)発言は安倍事務所の秘書らに言及しているわけでもなく、全くのいいがかりの裁判であって、一般の私人が訴えてきていれば、すぐに取り下げとなるような裁判」だと、裁判の性格が特異であることを訴えました。

参議院・財政金融委員会で日興コーディアルグループの粉飾決算を追及してきた参議院議員・峰崎直樹氏(民主党)は、「(日興と安倍人脈の話は)一度国会においてとりあげるべき案件だった。そうしておいたら、こんなことにならなかったかもしれない」と悔やみました。

また山田氏が問題となっている発言をした際、安倍氏に関係する噂に言及したジャーナリスト・須田慎一郎氏は、必ずしもマーケットメカニズムに忠実に動くわけではなく、政治的な思惑で動いてきた証券業界の過去を、発祥の歴史にまで遡りながら解説する講演を行いました。

最近山田氏は、あごをケガしてしまい、満足に食べたり喋ったりできない状態のようでしたが、多くの出席者に感謝の言葉を伝えていました。次回期日は、10月12日、13時半、東京地裁、103号法廷と決まりました。

◇参考リンク
SLAPP WATCH | サンデープロジェクト・コメント名誉毀損訴訟、始まる
| slapp | 興味深い裁判例 | 23:17 | comments(2) | trackbacks(9) |
JR関係者に訴訟を連発されている西岡研介氏
オリコン訴訟の第4回口頭弁論の模様と、それに関連して同類のSLAPPを受けている例として、ジャーナリスト・西岡研介氏を紹介した記事が、MyNewsJapanで掲載されています。本来リンク記事はオリコン訴訟リンク集(8)として紹介するところ、西岡氏の事例メインで紹介します。

オリコンうがや訴訟7・JR「革マル」派告発の西岡研介氏、48件の“訴訟テロ”に反訴へ

西岡氏は「週刊現代」にて、2006年7月から「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」という連載記事を執筆。連載はその後、『マングローブ』(講談社)という単行本にまとめられています。JRの有力な労働組合・JR総連、さらにその傘下でJR東日本の労働組合・JR東労組といった、JR内の労働組合が、暴力的な政治行動で知られた過激派・革マル派によって現在も牛耳られていると指摘する内容でした。記事の切り口そのものは、『JRの妖怪』小林峻一著(イーストプレス)や、『Z(革マル)の研究』野村旗守著(月曜評論社)といった、先達による仕事もあり、従来から物議をかもしてきたテーマです。

すると告発の対象になったJRの労組関係者が、先の記事は名誉毀損や労働者としての団結権の侵害にあたるとして、西岡氏と講談社を訴えたのです。この7月の時点で、全国各地で総計50件の裁判が起こされていて、最大の批判対象だった元JR東労組会長・松崎明氏らによる裁判の2件を除き、48件が労組組合員による本人訴訟だそうです。裁判は、すでに判決が出始めていて、それらでは西岡氏側の完全勝訴が下されているようです。

◇リンク
さいたま地裁判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070518163139.pdf
日本ユニ著作権センター/判例全文・2007/04/27c
http://www.translan.com/jucc/precedent-2007-04-27c.html

広島地裁判決
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070619150244.pdf
| slapp | 興味深い裁判例 | 23:00 | comments(0) | trackbacks(3) |
サンデープロジェクト・コメント名誉毀損訴訟、第二回期日関連情報
ジャーナリストの山田厚史氏と朝日新聞社が、安倍晋三首相の事務所秘書らに訴えられた、サンデープロジェクトコメント名誉毀損訴訟の第二回口頭弁論が、今月10日に迫ってきました。第一回の傍聴人が多かったため、法廷は100人からの傍聴が可能な大法廷となりました。また、支援者によるサイトなども立ち上げられたようで、関連する情報をお知らせします。

【日時】 8月10日(金) 午後1時30分
【場所】 東京地方裁判所 第103号法廷
  ※その後、午後2時より下記にて報告集会を開きます。
【日時】 8月10日(金) 午後2時〜4時半
【場所】 商工会館・弁理士会館 6階会議室 
     千代田区霞が関3-4-2(東京地裁より徒歩12分)
報告集会において、3月25日放送のテレビ朝日「サンデープロジェクト」に出演し、安倍首相の秘書から名誉毀損だと指摘を受けた山田厚史さんの発言の場に同席した、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏および『インサイダー』編集長の高野孟氏から「日興コーディアル証券はなぜ上場廃止にならなかったのか」その裏事情と、本件の山田厚史さんの提訴について貴重なお話をして頂く予定でおります。
※ 傍聴及び報告集会にご参加いただける方は、お手数ですが事前にご連絡下さいますようお願い申し上げます。※ なお当日、直接法廷及び報告集会においでいただいても結構です。        
弁護士 椎名麻紗枝  山田厚史さんを支援する会事務局 二木啓孝
(注:弁護士事務所および事務局の電話番号等は、当ブログでは割愛しました)

◇次に、関連するサイトの情報です。
山田厚史さんを支援する会は、TEAM AAAという名称に。こちらのサイトから弁護士事務所や事務局へのコンタクトが可能です。TEAM AAAの呼びかけ人が全員フリーランスであることに、いろいろ考えさせられますが、それはまた別の機会に。
TEAM-AAA
ブログもつくられています。
AAAの眼
| slapp | 興味深い裁判例 | 10:33 | comments(0) | trackbacks(4) |
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