SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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対クリスタル裁判、ダイヤモンド社の勝訴確定
前フリしておきながら更新できてない話題があるまま、12月後半まできてしまいました。資料庫として追いつく予定です(希望。では、以前とりあげたこの話題(ダイヤモンド社、クリスタルに勝訴/東京地裁)のその後、から更新を再開します。

ちょうど人材派遣会社・グッドウィルが厚生労働省に事業停止命令を受けたとして話題になっていますが、そのグッドウィルが一昨年買収したのが、業務請負・派遣事業で業界トップにいたクリスタルでした。2003年以降、そのクリスタルの経営手法に疑問を投げかけたメディア4社が、クリスタルにたて続けに高額訴訟を起こされました。ジャーナリズムが問題にしたのは、いわゆる「偽装請負」でした。

偽装請負とは、派遣と似ているものの異なり、下請け会社が元請け会社の業務を請け負う契約を結んだことにして、元請け会社の工場等に労働者を送り込むものを指すことが多いです。一般に労働者は、労働基準法などの法律で雇用者としての権利を保護され、雇用保険や健康保険、有給休暇などの恩恵を受けられますが、請負労働者となると、それらの権利は保障されません。また派遣労働者の場合でも、一定期間、派遣先企業で働けば、派遣先には直接雇用の申し込み義務が発生しますが、それが派遣法の立法趣旨どおり履行されることは、ほぼありません。要するに偽装請負は、企業にとって労働者を安いコストで働かせる手法として蔓延していたのです。

景気回復後の遅ればせではありますが、それは労働者の権利上問題があるのではないかと、メディアは問題提起しました。それらの報道にクリスタルは高額訴訟で対抗し、メディアはターゲットを修正、批判は、下請け・派遣元企業から元請け・派遣先企業へと向かいました。それが2006年夏からの朝日新聞の偽装請負告発報道であり、2007年の週刊現代の斎藤貴男氏の記事であったと言えます。

クリスタルによる4件の裁判のうち2005年1月に起こされたダイヤモンド社との裁判(平成17年(ワ)467号、民事15部)だけが最近まで継続していました。そして先月11月15日、東京地裁で、ダイヤモンド社の完全勝訴判決が出されていたのです。結局、この裁判、先の地裁判決が確定したことを当ブログは確認しました。一連の裁判では、日刊現代との裁判(東京地裁)だけクリスタルの勝訴判決で確定、他はクリスタルが当初の請求を諦めるかたちで終結を迎えました。
| slapp | 興味深い裁判例 | 23:55 | comments(0) | trackbacks(1) |
オリコン訴訟第六回口頭弁論は明日、12月11日
「あ〜、明日の今頃は〜法廷は開廷中〜♪」というわけで、ついにオリコン訴訟は明日、佳境を迎えます。なにかと気ぜわしく更新が滞っていまして、すいません。というわけで、12月11日、午後1時半〜4時、東京地裁、709号法廷にて、烏賀陽側、オリコン側双方の証人が証言する第六回口頭弁論が開かれます。烏賀陽側はもちろん烏賀陽弘道本人が法廷に、オリコン側は2003年1月に烏賀陽の取材に対応した元社員が出廷します。傍聴券配布となると思うので、ご関心ある方は早めににお集まりください。 さて、最近ウェブ上にアップされたオリコン訴訟にかかわるネタで、注目していただきたいものを三つご紹介します。

SLAPP WATCHはオリコン訴訟の訴訟権の濫用という部分に注目していますが、裁判ではオリコンのチャート作成法に関しても争点になっているのも事実です。音楽関係者の方にとっては一番気になる点じゃないでしょうか。そのチャート作成法に関して、烏賀陽弁護団が実際に店舗を訪問取材した結果、オリコンのチャート集計法は、集める順位の数やフォーマットが店舗によってバラバラであることがわかってきました。この調査について、入手したチャート集計のフォーマットを手に烏賀陽がugaya.tvで解説している回がありますので、ご覧ください。

YouTube - オリコン訴訟24話 オリコンの調査票と調査方法を公開

さらに、MyNewsJapanが、オリコンのチャートに関して、公平性や中立性が必ずしも期待できないものであることを、元ソニー・ミュージックエンターテイメント(SME)社長の丸山茂雄氏へのインタビューによって明らかにしています。丸山氏はソニーレーベルのコンテンツ事業拡大に大きく貢献した方で、音楽業界で知らぬ者はいない人物です。今も若手発掘に努めている業界を代表する人物が、オリコンチャートの信頼性に距離を置く証言をしている意味は大きいと思われます。

ソニーME元社長が証言 オリコンのチャート操作、働きかけ日常化

さらにもう一段。MyNewsJapanで、オリコンによるチャート集計を店舗側で担当者していた人物が、オリコンへ報告するチャートの数字が実に適当に集計されていたことを暴露する記事が掲載されました。以下の見出しだけでも、スクープ記事だとわかります。「適当に順位をつけて自分でつくっていた」「お気に入りバンドを上に入れて操作」「予約を実売数に入れるかは小売店の判断」「オリコン側のチェックなし、やっつけ仕事」。

オリコン集計担当者、Jポップチャート順位の“でっちあげ”を証言
| slapp | 日本のSLAPP実例 | 15:10 | comments(0) | trackbacks(1) |
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