SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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堀江貴文vs立花隆・日経BP裁判、地裁判決その後
10月3日に以前お伝えした堀江貴文氏が立花隆氏と日経BP社を訴えている裁判の地裁判決があり、堀江氏側が勝訴し、賠償として総額200万円の支払いを認める判決が出ました。各メディアが報じていますが、判決が出てから一斉に報じる姿勢には、発表ジャーナリズムの一類型としての、判決ジャーナリズムという言葉を充てたくなります。それはともかく、以下に共同通信の記事を引用します。

立花隆さんらに賠償命令 堀江被告の名誉棄損訴訟
 暴力団との関係をほのめかす記事で名誉を傷つけられたとして、ライブドア元社長堀江貴文被告(35)=証券取引法違反罪で公判中=が、評論家の立花隆さんと記事をサイト上に掲載した日経BP社(東京)に5000万円の損害賠償や謝罪広告の掲載などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は3日、立花さんらに200万円の支払いを命じた。
 笠井勝彦裁判長は判決理由で「疑惑と記事内容との関係は明らかでない。一般人が読めば、堀江被告が暴力団と密接な関係を持ちマネーロンダリングに加担したと解釈できる」と指摘。
 その上で、サイトへのアクセスが多数あった点などを重視、「名誉棄損の違法性は低くなく、被告の精神的苦痛は看過できない」と結論付けた。
 判決によると、BP社は2006年5月10日、「堀江被告の保釈・幕引きで闇に消えたライブドア事件」と題する立花さんの記事をサイトに掲載した。
(後略)
堀江氏は判決後当日には、ブログで勝訴について言及しました。そのなかで、今後も名誉毀損にあたる記事などを精査し、なんらかの対処をとる可能性があることを示唆しています。立花氏と日経BP社は、ウェブ上ではこの件について、なんら情報を発信していないようです。

レモンチェロ|六本木で働いていた元社長のアメブロ
今後も、こういった根拠のない誹謗中傷系の報道・記事に対しては徹底的に対処していく予定です。これまでに報道されたものも、洗いなおす予定です。
ところで、もともと立花氏が、問題となった記事のネタ元として活用したのは、二階堂ドットコムというサイトの管理人が発行した『ライブドアとの闘いの日々』(スポーツサポートシステム発行、文苑堂発売)という本でした。その本を引用しつつ考察した記述が問題となったのですが、堀江氏側は二階堂ドットコムの管理人に対しては訴えませんでした。いわばネタ元となった情報の発信者は訴えず、それをもとに考察、頒布した立花氏だけを訴えたのです。判決後、二階堂ドットコムは裁判についてコメントしています。

nikaidou.com: 堀江貴文vs立花隆裁判について
当方は本件裁判の元となった件に関し、完全に戦える自信がある。堀江側がどうして当方を訴えてこなかったのかといえば、それは「泥」だったからではなく、当方こそがライブドア事件の闇にあった真相を知りつくしているからである。・・・なのでもし、堀江側が当方を訴えてくれば、いつでも書類と証言者を用意し訴訟に応じ、反訴も辞さない。というか反訴するだろう。・・・(一部を抜粋)
率直に言って、意味ありげなほのめかしで終わっている文章なので、事の真相はわかりませんが、堀江氏が二階堂ドットコムに対して、いかなる見解をもっているのか気になるところです。堀江氏の論法でいくなら二階堂ドットコムの管理人も訴えなければならないからです。

本エントリーの趣旨とは別のアイデアですが、虚偽報道や訂正報道を集積したデータベースのようなものがあれば、情報発信者の信頼性を第三者が判断するときの参照点になりえますね。

追記:web.archive.orgに削除された当該記事がクロールされています
| slapp | 興味深い裁判例 | 21:27 | comments(0) | trackbacks(0) |
オリコン訴訟、高裁での烏賀陽側提出資料公表
オリコン訴訟は、9月16日から東京高裁で、控訴審が始まっていますが、その控訴審にて烏賀陽側が提出している主な書面等が、UGAYA Journal.のサイトで読めるようになっています。控訴にあたっての理由書、証人申請した人物など控訴審での証拠の目録にあたる証拠申立書、烏賀陽側の立場に理解を示すよう求める表現者を中心とした意見書といった内容になっています。

http://ugaya.com/column/080422oricon_index.html

*控訴理由書
(一審はなぜ誤っているかを解説した2審での訴状にあたる最重要書類)
*証拠申立書
(高裁で新しく提出する新証人、新証拠の目録。裁判所が証拠申請を認めるかどうかが注目される)
*佐高信氏の意見書
*江川紹子氏の意見書
*国際NPO「国境なき記者団」駐日代表ミシェル・テナン『リベラシオン』東京支局長の意見書
*出版労連の意見書
*フリーランサーの労組/出版ネッツの意見書

以下は、ミシェル・テナン氏による意見書の一部です。
現代の日本のような民主主義国においては、報道の自由や表現の自由は憲法で保障された基本的人権です。しかし、私が敬愛する友人である樋口陽一・東大名誉教授が私に繰り返し語ったように、こうした基本的人権は常に攻撃にさらされるため、常に守らなければいけないのです。私の祖国であるフランスでも、報道の自由を守るため行動しなければならないことは同じです。
 しかしながら、このオリコン対烏賀陽裁判のような訴訟自体が、フランスではありえません。フランスでは表現の自由はある種「神聖な権利」とさえいえます。ジャーナリストや文筆業者は企業への疑問を公に表明することができます。こうして批判された企業はジャーナリストを攻撃するのではなく、ただ単純に「反論権」(Droit de response)を行使することにより反論するのです。
 オリコンがフリーランス記者や文筆業者に提訴という形で法的争いを仕掛けたことは、海外メディアや報道の自由を守る国際組織にとっては「純粋な復讐または脅迫目的の行動」に見えます。これは明らかに公権力の濫用であり、社会正義のための行動ではありません。
 また、フランスはじめEU諸国では、ニュースソース(取材源)だけを訴え、編集部や出版社を被告から外すというオリコン裁判のような提訴のあり方はまったく考えられません。
 ゆえに、東京地裁での一審判決がいかに外国の報道機関を仰天させたか、ご想像いただけると思います。「国境なき記者団」の「2008年版世界報告書」日本の章には、オリコン訴訟が「非常に憂慮すべき事態」として記載されています。09年版では、この問題がよい方向で解決し、記述が消えるように願ってやみません。
| slapp | 日本のSLAPP実例 | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
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