SLAPP WATCH

大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるため起こす高額の恫喝的訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する研究室兼資料室です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
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スラップ訴訟情報センター
 独自のドメインで、スラップ訴訟情報センターというサイトができています。サイドバーのリンクにひと月ほど前から付加していました。日本版SLAPPまとめサイトといったところでしょうか。アメリカでは、SLAPPの概念を考えた学者らが参加して、SLAPP Resource Center というまとめサイトが2006年につくられていました。そのサイトのおもむきに似ています。SLAPP Resource Centerは告発や相談に応じるフォームを設けるなど、非常に充実したサイトでした。ただし事情はわかりませんが、現在、ドメインは消失しています(サイドバーにリンクの痕跡を残しています)。どんな問題でもそうですが、被害を訴える声を、ある程度自立性をもってフォローし続けるのは、なかなか難しい作業です。でもアメリカには実定法まであるのですから、日本でもSLAPPについて考え続ける場は必要ですね。

スラップ訴訟情報センター
http://slapp.jp/
| slapp | 未分類 | 08:07 | comments(0) | trackbacks(1) |
読売vs偽装部数調査報道記者訴訟、黒薮哲哉氏全面勝訴
判決報告集会20090330

(管理人、外出のため簡易な更新で失礼します)
30日は、当ブログとしては、偽装部数という言葉を裁判の名称に盛り込むため四苦八苦したあの裁判の判決日でした。。。読売新聞社側が、新聞社の発行部数問題を暴いてきたジャーナリスト・黒薮哲哉氏を訴えた二件の裁判の内のひとつ、読売新聞社員・江崎徹志氏が、著作権の侵害を訴えていた裁判(読売「押し紙」裁判)の判決が、東京地裁で言い渡され、江崎氏の請求は退けられ、黒薮氏の全面的な勝訴となりました。

(一時期、記事が閲覧できなかったようです。ハテ?)
| slapp | 興味深い裁判例 | 21:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
メディアはメッセージである
ヤフー・トピックス20090329

伝統的メディアの人間が、いかに見たくないものから目を逸らそうとも、心ある人は見ています。MONEYzineの中の人、ヤフー・ニュースの中の人、その心意気、勝手に感じとらせていただきました。明日は、読売vs偽装部数調査報道記者訴訟の、著作権にまつわる裁判の地裁判決の日です。

■判決
日時:3月30日(月) 13:30〜
法廷:東京地裁627号(地下鉄霞ヶ関駅A1出口すぐ)
■判決報告集会
日時:3月30日(月) 18:30〜20:30
会場:出版労連本部会議室文京区本郷4−37−18 いろは本郷ビル2F
(丸ノ内線・大江戸線本郷三丁目駅3番出口)
共催:出版労連・出版産業対策部・出版ネッツ
MAP http://www.syuppan.net/uploads/img463358ee1c553.gif

◇参考…画像は29日、ヤフー・トピックスのキャプチャ
新聞業界の苦悩 自らの首を絞める「押し紙」問題:株/FX・投資と経済がよくわかるMONEYzine
マスコミ、出版 - Yahoo!ニュース
読売新聞押し紙訴訟、30日に判決
| slapp | 未分類 | 21:14 | comments(0) | trackbacks(0) |
日経新聞コラムニスト・田勢康弘氏「発行部数は嘘の塊ですから」と明言
chikusi-sympo
(当ブログはSLAPPについて考える場としてはじめましたが、たまに違った周辺ネタもカテゴリーをもうけてアップしていこうかなと。それがジャーナリズム2.0?)

1月26日、昨年11月7日に亡くなったジャーナリスト・筑紫哲也氏を追悼して、「多事激論!ジャーナリズムのこれから」と題したシンポジウムが早稲田大学で開かれ、田原総一朗氏司会のもと、ゆかりのあった金平茂紀氏(TBS)ら6人が参加し、議論を行いました。1000人が収容可能といわれる大隈講堂は9割がたが埋まっていて、筑紫氏の存在感の大きさを感じさせるものでした。

筑紫氏を追悼する集まりといっても、筑紫氏の足跡についての話題はチラっと出ただけで、あとは多岐にわたる時事的な話題、とくに今後メディアはどうなっていくのか、といった話に多くの時間が割かれました。そうしてこそ、論を好み媒体を超えて活躍した、筑紫氏の遺志を継ぐのにふさわしいと田原氏らは判断したのでしょう。

なかなか面白いシンポジウムでしたが、なかでも筑紫氏の後を継ぐかたちで早稲田大学公共経営研究科の教授についた、日経新聞客員コラムニスト・田勢康弘氏の話に興味深いものがありました。田勢氏は、もと日経新聞の政治部記者で、記者時代から単著を発表し、筑紫氏同様、日本の記者クラブの慣行を批判し、組織人でありながら、その枠を超えた活動をしてきた人です。現在はテレビ東京で週刊ニュース新書の司会者も務めています。

田勢氏はメディアの来し方行く末を話す中で、「この40年間、新しい新聞がまるで登場してきていない、こんな産業はない」、「大きな新聞はあらゆる意味で権力に弱い。若手記者は新聞社の幹部が社主催のイベントへの出席を、総理官邸にお願いに行くのを見ているわけです。(だから批判などできるわけがない)」といった数々の指摘をしていました。なかでもポツリと漏らした、「(新聞の)発行部数は嘘の塊ですから」という言葉は、会場の笑いを誘い、耳に残るものでした。田勢氏は中学・高校と新聞配達をして身を立てた人ですから(著書『政治ジャーナリズムの罪と罰』より)、新聞販売の現場にも愛着があると想像します。思わず、しゃべらずにいられなかったのではないでしょうか。

なにもこのエントリーは、田勢氏の「嘘の塊」発言を晒しあげたいわけではなく、黒薮哲哉氏の地道な報道や、元新聞社幹部の発言や、個々の販売店経営者自身が声をあげることによって、新聞の発行部数に疑問を投げかける事実は、充分蓄積されているにもかかわらず、こちらのJ-CASTニュースの記事のように、日本新聞協会という「倫理団体」(←協会側の自己説明)の関係者らは、偽装部数問題を他人事のように扱っているのです。そのことを晒しあげたい、というか、少しでも知らせるため、書いておきたいのです。新聞の現役の書き手が「発行部数は嘘の塊」と公言しているのを、新聞関係者は冷笑で済ませようとするのでしょうか。

筑紫氏のよく使っていた言葉で、記憶に残っているのは、二つ。いずれも福澤諭吉の言葉ですが、やはり「多事争論」、そして「一身にして二生」。ひとつの集団に帰属して自己保身を優先するあまり、真実を犠牲にし、あげくの果てに他者を圧殺するような役回りを担っている人が、いやしませんかと思う今日この頃。生前最後に、ウェブに発言の場を移した筑紫氏が、サイト開設にあたって書いた『「論」も愉し』というメッセージにリンクを貼って、拳拳服膺できるようしておきたいと思います。

◇参考
Chikushi-Memorial Symposium
WEB多事争論
| slapp | ジャーナリズム2.0 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
読売vs偽装部数調査報道記者訴訟、1/28傍聴
読売新聞西部本社の法務室長・江崎徹志氏が、新聞社の偽装部数問題を報道し続けてきたジャーナリスト・黒薮哲哉氏を、著作権法に違反したとして訴えている裁判が、1月28日、東京地裁で開かれ、証人尋問が行われました。この裁判は、黒薮氏が長年追っている、読売と訴訟にまで発展した販売店問題(通称真村裁判)の動向を、江崎氏が送付したFAXやメールを引用しつつ自らのサイトで報じたところ、その公表が権利の侵害にあたると訴え、その差止を求めているもの。この裁判以外に江崎氏は、他の読売社員2名と読売新聞西部本社の連名で、黒薮氏が自らのサイトで行った記述が名誉毀損にあたるとして、2230万円の損害賠償を求める裁判も起こしています。

江崎氏への尋問
法廷ではまず江崎氏が証言に立ち、トラブルとなっている販売店側に送付したFAXが黒薮氏のサイト「新聞販売黒書」に掲載されているのを発見したのち、どういう経緯を経て掲載中止を求める催告書を送付したのか、江崎氏の著作権に関する理解とはどういうものかといった点を中心に、質問に答えました。

江崎氏によると、2007年12月、トラブルとなっている販売店(正確には代理人)に送付したFAXが黒薮氏のサイトに掲載されているのを発見、「交渉ごとなので第三者に公開されるとまずいと思った」ため、販売店対処の代理人を務めている喜田村洋一弁護士に相談。「公表権・複製権の侵害にあたるとアドバイスを受け」、法務室にあった著作権に関係した本を数冊読み、自ら催告書を作成。弁護士に見てもらって修正を経たのち、メールで黒薮氏に送信。その後の対応は弁護士に「おまかせ」したと述べました。催告書の著作物性に関しては、問題の文書の「どの部分に創作性があるのか?」との質問には、「どこかと言われれば、全体としか言いようがない」、「私が自分で書いたので、私の著作物だと思った」と答えていました。

印象に残ったこととして、裁判官が、江崎氏に「(会社で)催告書を作成することはありますか?」と質問したとき、黒薮氏に対してが「初めて」と明かしただけでなく、その流れで、「部下たちは催告書を作成していると思います」(筆者強調)と、部下の業務を把握していないかのように感じさせる発言がありました。催告書とは、相手に一定の行為を請求するもので、応じない場合は法律上不利益な扱いを受けることがあると通告する文書なので、もし法務室の社員がそうした文書を作成するなら、上司への確認、少なくとも報告があるのでは、と引っかかりました。江崎氏は一方で、今回の催告書送付は、「事後に社内に報告した」と述べていました。

黒薮氏への尋問
次に黒薮氏が、サイトで催告書を掲載するに至ったプロセスと、この訴訟がもたらす社会への影響について証言。黒薮氏は、新聞社の不正を追いはじめた原点から語り、江崎氏よりも、はるかに長い時間軸で事態の背景を説明しました。

黒薮氏は、新聞業界紙の記者を経験後、97年からフリーに転じ、新聞の偽装部数、いわゆる押し紙問題の取材に着手。以後、出版物やウェブサイトで問題提起を続けてきました。なかでも継続的に報道し続けてきた事例に、真村久三氏(福岡県)の経営する読売新聞の専属販売店と読売本社との経営権をめぐるトラブルがありました。このトラブルは裁判にまで発展し、真村氏が、2007年6月、高裁で勝訴しました。押し紙の存在も認められた画期的判決は、その後、確定しています。法廷でも黒薮氏は、「新聞社と販売店との訴訟で、高裁でも新聞社が負けたのは、自分が知る限り初めて」と語っていて、非常に注目に値する裁判でした。勝訴後、真村氏は損害賠償を求めて本社側を提訴し、緊張は継続しています。

真村氏販売店と本社の間ではトラブルになって以来、6年間も交流がなく、新聞供給元が販売店と接触しないという異常な状況があったそうです。そんな状況下で、本社から訪問したいとの意向が販売店側に伝えられたのです。そのことを知ってニュース性を感じた黒薮氏は、自らのサイトで、この事実を報じました。この際黒薮氏は、江崎氏が真村氏代理人の江上武幸弁護士に送付したFAXを資料として掲示。その後、江崎氏から催告書が送付されてきたため、再度、催告書もあわせて示し、読者に動向を知らせたところ、司法へと訴えられたのです。

尋問で黒薮氏は「報道というのは客観的資料を見せるのが重要」、「内部文書が許可無く掲載できないなら調査報道がなりたたなくなる」と主張しました。ちなみに黒薮氏が、報道に際してはできる限り全部資料を見せた方が望ましいと述べたため、喜田村弁護士は、黒薮氏がサイトで資料を引用する場合は必ず全文を引用するのかと同じ内容の質問を連発し、裁判長に「繰り返しなのでやめてください」と注意されていました。引用の常識を知らない人物と印象づけたかったのでしょうか。

管理人の注目点
両者の尋問から重要なポイントだと思われたのは、催告書が黒薮氏にメールで送信されたのち、黒薮氏は江崎氏に真意を問いただすべくメールや電話でコンタクトをしたにもかかわらず、江崎氏は、無回答や先延ばしで、これらにまともに対応せず、内容証明郵便を送るでもなく、司法に訴えたという経過です。江崎氏はそうした理由を、「喜田村弁護士におまかせした後なので返事をしなかった」と説明していました。総じて尋問では、かなり早い段階から、喜田村弁護士への相談→おまかせ、といった弁護士の関与が存在し、催告書をメール送信した後は、対話の可能性を閉ざして、裁判に至っているということが明らかになりました。

次回は2月12日、午後3時、東京地裁、627号法廷で開かれ、結審の予定です。
| slapp | 興味深い裁判例 | 07:34 | comments(0) | trackbacks(0) |
MyNewsJapan選定「日本鬼畜訴訟大賞」
周回遅れ備忘録の更新です(遅くてもたんたんと記録するよ)。ジャーナリスト・渡邉正裕氏主宰のニュースサイト「MyNewsJapan」が、昨年12月に2008年中に提訴された裁判を対象に、“嫌がらせ口封じ”訴訟としての性質がみられる訴訟をリストアップ、ジャーナリスト5人の投票によって悪質さをランキングし、第一回鬼畜訴訟大賞として発表していました。

1位に読売新聞西部本社、
2位に新銀行東京、
3位に毎日新聞社、が選ばれています。

前二者の訴訟は当ブログでも情報をフォローしていましたが、毎日新聞社による訴訟とは、対販売店との間での訴訟を指すとのことです。

MyNewsJapan:第一回「日本鬼畜訴訟大賞」最極悪賞に読売新聞社


| slapp | 未分類 | 07:52 | comments(0) | trackbacks(0) |
キヤノン・御手洗vs講談社・斎藤訴訟、経過など
周回遅れ備忘録の更新です。以前フォローしていた、キヤノンと同社会長の御手洗冨士夫氏が、雑誌「週刊現代」に掲載された記事や広告が名誉毀損であるとして、計2億円の損害賠償を求め、2007年10月、記事を執筆したジャーナリスト・斎藤貴男氏と発行社・講談社を訴えた裁判は、昨年12月25日、東京地裁で判決が出され、講談社に200万円の支払いを命じる判決が出ていました。問題となったのは、「キヤノン御手洗会長と七三一部隊」と題した「週刊現代」2007年10月20日号の記事と広告。斎藤氏の書いた記事は、御手洗冨士夫氏の叔父、御手洗毅氏の書いた論文に、戦中日本軍の七三一部隊の関係者への謝辞が書かれていると指摘するものでした。判決では、記事自体は名誉毀損と認められなかったものの、雑誌の表紙と広告の見出しが「省略や誇張の許容範囲を超えている」として、名誉毀損が認められました。<事件番号:平成19年(ワ)26312>


判決を伝える記事をリンクします。
講談社に200万円賠償命令、「週刊現代」でキヤノンの名誉棄損 - IBTimes(アイビータイムズ) - 世界の最新ビジネスニュース
J-CASTニュース : 「週刊現代」名誉棄損訴訟、御手洗会長が勝訴

キヤノンは判決当日にはプレスリリースを出していました。この姿勢そのものは、前エントリーのJASRACと同様、訴訟の是非はさておき、望ましい姿勢だと思います。願わくば、裁判での主張をウェブで公開することです。一方どうもメディア企業は、トラブルの存在を、他の業種の企業以上に第三者に公開したがらない傾向があります。メディア企業のそうした姿勢は、情報強者として存在してきた驕りがあるような気がします。

キヤノン : ニュースリリース

この裁判は、講談社側が控訴しています。裁判期日はまだ未定のようです。
| slapp | 興味深い裁判例 | 11:11 | comments(0) | trackbacks(0) |
JASRACvsダイヤモンド社訴訟、終結など
周回遅れ備忘録の更新です。日本音楽著作権協会(JASRAC)が、「週刊ダイヤモンド」に掲載された記事を巡り、2005年11月、名誉毀損であるとして約4300万円の損害賠償を求めダイヤモンド社を訴えていた裁判は、昨年12月19日、最高裁の決定が出され、同社に320万円の支払いを命じる東京高裁判決が確定していました。JASRACは5日後にはプレスリリースをウェブで発表しています。

株式会社ダイヤモンド社らに対する訴訟の終結について(JASRAC)

この裁判は昨年8月7日に東京高裁判決が出されていました。このときもJASRACは翌日付けですばやくプレスリリースを出しています。なぜかプレスリリースのフロントページにリンクはありませんが…。

株式会社ダイヤモンド社らに対する訴訟について(JASRAC)

一方、ダイヤモンド社のサイトでは、JASRACと訴訟があったことすら、うかがえません。JASRACが高額請求訴訟を提起した是非はおくとして、組織の説明責任の姿勢として、JASRACのほうが好感がもてます。望むらくは、紛争が起きた時点で、具体的論点をあげてウェブ上で情報発信がなされれば、第三者に検証が可能になるので、一層望ましいと考えます。昨年、JASRACにまつわる悪評のひとつとして伝説化していたオーケン事件(リンク先参照)が、雑誌「ぴあ」の大槻ケンヂ氏自身に取材した記事で否定されているのを目にしました。そうした噂話についてJASRACは積極的に見解を示していけばいいのにと思ってしまいますが、そうした対話型の組織運営は広がらないものでしょうか。

◇参考リンク
日本音楽著作権協会 - Wikipedia
JASRACが二審もダイヤモンドに勝訴、記事で名誉毀損
ナタリー - 大槻ケンヂがJASRAC「オーケン事件」の真相を語る
| slapp | 興味深い裁判例 | 10:02 | comments(0) | trackbacks(0) |
新銀行東京・内部告発者訴訟、経過など
周回遅れ備忘録の更新です。新銀行東京がメディアを通して内部告発を行った元行員の男性を情報漏えいなどを理由に訴えた裁判について、その後の男性側からの提訴も含め以前とりあげましたが、昨年12月12日には、この男性が提訴をめぐって都庁内で記者会見を開いていました。新銀行東京側提訴の裁判は、非公開審理で進められているようで、12月12日はその審理があった日ですね。一方、男性側提訴の裁判は、2月13日に口頭弁論が開かれる予定と聞いています。後者の裁判は、新銀行東京の提訴に対する反訴ではなく、新銀行東京在籍時のいじめに対する損害賠償を求める別訴としての意味あいをもっています。会見を伝えた記事をリンク、引用します。

情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ): 口封じ!? “恫喝訴訟”をされた元行員が、「新銀行東京」に対して怒りの会見
中小零細企業への融資を目指し、石原慎太郎東京都知事が実質、立ち上げたものの、わずか3年で1千数百億円もの税金を棄損することが確実な「新銀行東京」ーー。その元行員・横山剛氏(40)は12月12日、都庁で記者会見し、退職後に、入社時に署名した誓約書に反して「テレビや雑誌に機密を漏らした」として、新銀行東京が1000万円の損害賠償などを求め提訴したことにつき、「民主主義の根幹を破壊する有権者全体への背任行為だ!」と厳しく批判した。同行に関しては、すでに融資を巡る詐欺容疑で元行員らが逮捕されたり、議員が仲介することで本来は無理、あるいは事業実態のない企業に多数融資がされていた疑惑も出るなど、その実にいい加減な実態が明らかになるなか、「公益性のための言論、表現活動を行う」方が優先されるはずだ。

新銀行東京の機密情報流出訴訟 元行員が会見 - MSN産経ニュース

この裁判をめぐっては、内部告発の場となった「週刊現代」のほかに、月刊「創」2008年12月号で斎藤貴男氏が、週刊「金曜日」2008年11月21日号で平井康嗣氏(編集部)が、記事化していました。いずれも、横山氏側の提訴では、新銀行東京在籍時にモビング(mobbing)と呼ばれる集団的ないじめ・虐待があったという主張が論点になっていることを紹介しています。

当ブログとして気になっているのは、新銀行東京が内部告発者の言論を弾圧するかのような訴訟を行ったことを、新銀行東京の経営にかかわりがある東京都の関係者、とりわけ表現者として活躍してきた、現在、都の要職にある二人の人物がどのように評価しているかです。石原慎太郎知事は、12月12日の定例記者会見で、「訴訟そのものについては、私はこれを云々する必要はないしね」といったコメントをしています(石原知事記者会見(平成20年12月12日)|東京都)。
もう一人、猪瀬直樹副知事は、日本ペンクラブの言論表現委員会の委員長を務めたこともありますし、言論の自由の問題に一家言ある人なので、石原氏とは異なる見解をもっているのか、注目しています。
| slapp | 興味深い裁判例 | 08:00 | comments(1) | trackbacks(1) |
新聞という腐海
読売新聞絡みの訴訟に言及したため、かつてなく読売新聞からのアクセスが増加しています。正直に言って今後、読売新聞の法務関係者が何をしてくるかわからないという思いがありますので、細心の注意を払うため、ブログのトップページにあるブログの主旨説明の中の「恫喝訴訟」の文言を「恫喝的訴訟」に変更しました。管理人独自の言語感覚に過ぎないかもしれませんが、現在進行形の紛争についても言及することのある当ブログとしては、ブログの短い主旨説明文にせよ、恫喝訴訟という断定的価値判断を含んだ形容を避け、恫喝的訴訟という問題意識の反映にとどめる表現にしたいと思いました。“的”があることで、記事を読む第三者にも当該訴訟の評価をめぐって価値判断の余地を残す積極的な意味があります。過去エントリーの中身では意識的に恫喝的訴訟と表現しているのですが、トップページには字数の関係から恫喝訴訟の表現が残っていて、気になっていました。形容の揚げ足をとられて訴訟を起こされ、SLAPPについて考える機会を奪われたりしたら、当ブログとしては本も子もありません。当ブログは研究室兼資料室です。

さてさて、過去にも読売新聞絡みの訴訟に言及したことで、当ブログの閲覧者には新聞販売店の関係者もいらしていると思いますが、たぶん当ブログは新聞販売店の方に読んで共感してもらえるようなエントリーを書くことは難しいです。たとえ販売店が新聞本社に従属的な地位にあったとしても、偽装部数を長年積み重ねているような販売店の場合、それは偽装の“共犯者”としての評価を免れえないとも考えます。

新聞のビジネスモデルが破綻しかけている今、不況もあいまって新聞本社による専属販売店への締め付けはかつてなく厳しくなっていると想像します。当ブログとして、ただ言えることは、そうした時代に新聞本社が発する「ともにこの難局をのりきろう」といった共存共栄を謳う甘言は、そう遠くない未来に、本社側が手のひら返しで、紙の新聞の時代は終わったとの死亡宣告に変わると予測しているということだけです。いま新聞本社は、紙なき時代の事業の存続に向けて、出来る限り内部留保を確保していこうと刹那的に販売店を利用しているのが実際ではないでしょうか。環境への配慮が求められているこんにち、時間遅れの情報を運ぶためだけに森林伐採を毎日毎日、物理的にやり続けるようなビジネスが、持続的であるとは思えません。偽装部数の事実を公表し、まっとうなビジネスをやりたいと声をあげている販売店の方には、同情するほかありません。販売店の経営は、新聞事業にのみ従属しない一物流業者として自己を再定義すれば、今後も事業存続の余地が広がるのではないでしょうか。

閑話休題。昨年、東京大学情報学環と読売新聞の共催で3回連続のシンポジウムが開かれ、12月13日には、「『新聞』という船」というメディアとしての新聞を検証する回がもたれました。このときのシンポジウムでは読売新聞東京本社会長の滝鼻卓雄氏が基調講演を行い、市民ジャーナリズムの台頭を否定的に評価する独自のジャーナリズム論を展開しました。(参考リンク)講演のなかで滝鼻氏は、販売店のことにふれ、戸別配達のインフラを変わらないようにしたいと述べました。そのとき新聞販売店と郵便局の規模を比較しながら話をすすめたのですが、それが以下のような対比でした。昨年時点の数字だと思われます。

販売店      2万424店   販売店従業員数 42万4778人
民営化後郵便局 約2万400局  民営化後郵便局従業員数 約11万9900人

上記の数字を見ると、郵便局も人材をアウトソースしているでしょうし、物流一般には他の業者も存在しますから、この比較にどれほど意味があるのかわかりませんが、公的に競争から守られた単一の商品を扱う販売店が、これほどの規模で存在しているのかと業界の過剰人員体質に驚きました。講演で滝鼻氏は日米の新聞の収入構造の違いを強調して日本の新聞の磐石さを誇っていましたが、もう一人の講演者を務めた立花隆氏は、さまざまな資料を駆使して、新聞を支えている収入が結局は日米ともに似通っており、それが弱っている大状況があるのだと主張していました。ちなみにシンポジウムでは、忙しいのか、滝鼻氏は前半に参加しただけで、質問タイムの前に退席してしまいました…。そんなこんなで、このブログもめでたく監視対象の仲間入りのようですね(涙。
| slapp | 未分類 | 05:20 | comments(0) | trackbacks(1) |
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